2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15656019
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡本 卓 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (40204036)
|
Keywords | ランダムレーザー / フラクタル / 光硬化性樹脂 / 多重散乱 / スペックル |
Research Abstract |
本年度はフラクタル発光素子の母材となるランダム媒質の統計的特性を調べるためのシミュレーション解析、フラクタル構造による光増幅の特徴をつかむための理論計算、およびレーザースペックルによる光硬化ポリマー硬化の予備実験を行った。具体的な研究成果は以下の通り。 1.光硬化ポリマーをフラクタル状に硬化させるため、フラクタル性を持つスペックルを生成する必要がある。しかし、スペックルは一般的に異方性を持つため、このフラクタル・スペックルを3つの直交方向から交差させる。この三交差スペックル場をコンピュータ内でシミュレーションにより生成し、その統計的特性を解析した。その結果、3方向以外は異方性のない、ほぼ統計的に定常なフラクタル場が生成されることが分かった。また、二値化した場合は、しきい値によってそのフラクタル次元が変化することも明らかとなった。 2.1次元の規則的フラクタル多層膜構造内に光増幅膜を置いた場合の透過光・反射光の増幅率を理論的に計算した。その結果、フラクタル構造は周期構造に比べて特定の光周波数で大きな光増幅やモード密度が得られること、またバンドギャップ内でも透過光が増幅する場合があること、などが明らかとなった。このことから、規則的構造に関してはフラクタル構造がレーザー発振に適した構造であることが確認された。 3.通常のスペックル照射による光硬化ポリマーの硬化実験を行った。その結果、スペックル直径が最小20μm程度まではポリマー内部にランダム構造を作り込むことができることが分かった。ただし、ランダム構造がスペックル構造をそのまま保持したものかどうかは不明である。 その他、ランダム媒質内の光の散乱状態を把握するため、FDTD法を用いた電磁場シミュレーションプログラムを作成した。今後は実験とともに、このプログラムによる光散乱シミュレーションを行う予定である。
|
Research Products
(1 results)