2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳の力学シミュレータの構築と手術時の力覚・触覚呈示システムの開発
Project/Area Number |
15656065
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内山 勝 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30125504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 幸勇 東北大学, 大学院・工学研究科, 教務職員 (80261600)
佐藤 大祐 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40344692)
近野 敦 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90250688)
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Keywords | 力学シミュレータ / 力覚・触覚呈示 / 超粘弾性物体 / 実時間シミュレーション / ロボット工学 / 生体工学 |
Research Abstract |
平成15年度は、人間の脳を実時間で模擬することが可能な力学シミュレータの構築を目的としていた。その具体的な手順としては、超粘弾性特性を持つ脳の力学モデルを構築するため、脳の物性解析実験による十分なデータ収集を行い、これにより得られる計測データの解析から、人間の脳の力学モデルを定式化し、この力学モデルをコンピュータグラフィックスによって可視化することを計画した。 まず、脳の力学モデルの構築のために脳の物性解析について研究を進めた。従来、生体科学の分野においても脳の物性解析研究が行われており、基本的な定式化は行われていた。しかし、手術時に必要とされる生体内での脳の挙動は、脳の組織だけでなくその周辺の様々な生体要素の特性が絡み合ったものであり、生体組織を取り出さずに生体内で計測を行うことは難しい。本研究の最終的な目的は、ロボットによる脳の手術操作技術を獲得するために必要となる脳の力学シミュレータの構築と、手術時の力覚・触覚呈示システムの開発である。よって、この初期段階において、生体組織の計測、物性解析だけにとらわれては、この最終目標までは発展できないと判断をした。ゆえに、脳の物性値については、従来の基本的な定式化の研究成果を取り込み、詳細なデータ収集よりも先に、脳に代表されるような超粘弾性物体の力学シミュレータの開発と、その挙動を操作者に呈示可能な力覚・触覚呈示デバイスを含めたシステム構築を本年度の目的とした。 本力学シミュレータでは、有限要素解析ではなく、ばね・ダンパ要素から構成されるフォークトモデルとすることにし、数値モデルの物体をノードとリンクからなる立方体要素を組み合わせることで表現した。これに研究室において開発されていた6自由度ハプティックインタフェースシステムとネットワークを介して統合し、数値空間にある柔軟な仮想物体から、実時間で力覚・触覚を呈示可能な基幹システムを開発した。
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