2003 Fiscal Year Annual Research Report
確率微分方程式を用いた地震動位相の時間・周波数特性のモデル化と非定常時系列の模擬
Project/Area Number |
15656111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 忠信 京都大学, 防災研究所, 教授 (00027294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大鳥 靖樹 電力中央研究所, 我孫地盤耐震部, 主任研究員 (60371431)
本田 利器 京都大学, 防災研究所, 助手 (60301248)
盛川 仁 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究所, 助教授 (60273463)
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Keywords | 地震動位相 / 確率微分方程式 / 群遅延時間 / 位相準拠地震動 / ウエーブレット解析 / 位相の不確定性 / データベース / ヒルバート変換 |
Research Abstract |
本申請は新しい非定常時系列シミュレーション法を開発することを目的としている。まず、地震動の位相特性の合理的なモデル化手法を確立することを第一の目的とする。さらに、モデル化された非定常位相特性の情報を用いて非定常時系列のシミュレーションを可能する方法論を開発することを第二の目的とする。 このために、ウエイブレット変換を用いて地震動位相の時間・周波数特性を抽出し、それを確率微分方程式の概念を用いてモデル化する。具体的には、位相の周波数に関する微係数として定義される群遅延時間の時間・周波数特性を模擬するための確率微分方程式を導出し、その構成係数を既存の地震動記録のデータセットを用いて、断層破壊過程のパラメータと断層から観測点までの距離の関数として表現する。 つぎに、モデル化された群遅延時間を用いて地震動のシミュレーションを可能にするアルゴリズムを開発する。このために、因果性時系列の実数部と塵数部の間に成り立つヒルバート変換の関係を利用して群遅延時間から非定常時系列のフーリエ振幅特性を決定するための理論を展開する。 15年度に得られた成果は以下のようである。 (1)既存の地震動観測記録のデータベースから内陸地震でマグニチュード7クラスの地震動記録を抽出し、それらをデータベース化した。とくに、1999年台湾集集地震記録の収集を重点的に行った。 (2)ウエイブレット解析を利用し、個々の観測地震記録をバンドパス波形に分解し、それらの群遅延時間(位相の周波数に関する微係数)を計算し、それをデータベース化した。 (3)各周波数帯域上での群遅延時間をモデル化するための確率微分方程式を提案し、その物理的な特性を明確にした。 (4)データベース化された群遅延時間を用いて、(3)で導出された確率微分方程式の構成係数を、震源パラメータ、震源断層までの最短距離、局所的な地盤条件を説明変数とする回帰式を構築した。波動の散乱現象の解析から群遅延時間の分散と伝播距離との関係が理論的に誘導されるので、観測記録から求まる回帰式の物理的な解釈を行なった。 (5)群遅延時間は提案する確率微分方程式の解として表現されるので、(4)での回帰式を用いて、ウエイブレット解析で定義される各周波数帯域上でのサンプル群遅延時間をシミュレートするためのアルゴリズムを開発した。 (6)サンプル群遅延時間が与えられると、それを円振動数に関して積分することにより、位相スペクトルが求められるので、位相スペクトルからフーリエ振幅スペクトルを決定するためのアルゴリズムを開発した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ikumasa YOSHIDA, Tadanobu SATO: "Health Monitoring Algorithm by the Monte Cairo Filter Based on Non-Gaussian Noise"Journal of Natural Disaster Science. Vol.24, No.2. 101-107 (2002)
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[Publications] Tadanobu SATO, Yoshitaka MURONO, Akihiko NISHIMURA: "Phase Spectrum Modeling to Simulate Design Earthquake Motion"Journal of Natural Disaster Science. Vol.24, No.2. 101-107 (2002)
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[Publications] Abraham I.Beltzer, Tadanobu Sato: "Probability distribution of wave velocity in heterogeneous media due to random phase configuration"Elsevier, Wave Motion, science direct. Vol.38. 221-227 (2003)
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[Publications] Yuan Di, Tadanobu Sato: "Liquefaction analysis of saturated soils taking into account variation in porosity and permeability with large deformation"Computers and Geotechnics. Vol.30. 623-635 (2003)
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[Publications] Abraham I.Beltzer, Tadanobu Sato: "Neural classification of finite elements"Computers & Structures. Vol.81. 2331-2335 (2003)
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[Publications] 佐藤 忠信, 室野 剛隆: "位相情報を利用した非定常地震動のシミュレーション法"土木学会論文集. Vol.I-66, No.752. 159-168 (2004)