Research Abstract |
本研究は,開発した汎用室内透水試験装置を用いて,従来では不透水とされてきた10^<-7>cm/sec以下の透水係数を有する粘性土,コンクリート,遮水性アスファルトコンクリート,ベントナイト混合土などの難透過性地盤材料の透過特性に関する定量的評価を実験的,理論的に明らかにすることを目的とする. 本研究では,難透過性地盤材料の透過性評価の場合には,流量が極めて小さくなるため,動水勾配の数十〜数百,時には千を超える条件下で試験が行われていること,さらには,定常/準定常状態に達するまでに長時間を要することなどの問題点を解決するために,透過流体として水の代わりに気体を用い,難透過性地盤材料の透過性の評価を迅速に行える透気試験方法を開発し,適切な試験条件を明らかにした. さらに,一般的に流体移動特性としては透水係数が重視されるが,難透過性,非定常状態では比貯留率などの貯留特性にも支配される.この透過特性を定量的に表現するための透水係数,貯留係数が試験体に与えられる応力による影響を受けることが予測されるが,これらの定量的な評価方法は確立されていない.そこで,応力状態を制御した条件下で透水試験を行い,透水試験と力学試験の連成試験が行えるように試験装置に改良を加え,複数の応力載荷条件下で得られる一連の試験結果から,偏差応力が透過特性に与える影響を定量的に評価した.実験で使用した来待砂岩では,偏差応力は小さく,せん断ひずみが小さな範囲では,拘束圧,偏差応力の増加に伴い,透水係数が減少すること,また,偏差応力が大きくなり,せん断ひずみも0.1%付近の値を超えると透水係数が増加することが明らかになった. これらの技術は,今後の深部地下開発利用,特に高レベル放射性廃棄物の地層処分や炭酸ガスの地下貯留の基礎技術として活用が期待される.
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