2003 Fiscal Year Annual Research Report
FeO_6八面体をユニットとするオキシ水酸化物の自己組織化と構造相転移
Project/Area Number |
15656152
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
早稲田 嘉夫 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (00006058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 正敏 新潟大学, 医学部, 助教授 (40241583)
鈴木 茂 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (40143028)
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Keywords | オキシ水酸化鉄 / 酸化鉄 / 水酸化鉄 / X線回折 / 原子配列 / 局所構造 |
Research Abstract |
オキシ水酸化鉄などの酸化鉄の構造はFeO_6八面体ユニットと水素原子の配列によって表される。本研究では、まずこれらのオキシ水酸化鉄の原子レベル構造を明らかにするための精密構造解析を行った。試料には水溶液中で形成させたオキシ水酸化鉄(α-FeOOH)およびそれにクロムを添加したもの(α-Fe(Cr)OOH)を用い、EXAFSおよび定量的X線回折法や異常散乱法により、鉄やクロム周りの原子配列に関する情報を得た。定量的X線回折法や異常散乱法によって得られた結果は、リバースモンテカルロ法によりシミュレーション結果と対比させ、それらの原子配列を推定した。さらに、それらの結果を透過電子顕微鏡による形態観察の結果と対応付けた検討も行った。 透過電子顕微鏡観察により、水溶液から作製したα-FeOOHの形態は紡錘状であり、クロム添加によりα-FeOOHの形態が非常に微細になることを示した。次に、EXAFS解析によりこれらのα-FeOOHやα-Fe(Cr)OOHはいずれもFeO_6八面体ユニットで構成されていることが明らかになった。しかし、EXAFSではFeO_6八面体ユニットの連結に関する情報を得ることが困難であるため、さらに定量的X線回折法や異常散乱法により、鉄やクロム周りの原子配列に関する情報を得た。それらの結果をもとにリバースモンテカルロ法による原子レベル配列を推定し、α-FeOOHの原子配列がクロム添加によって著しく乱れることを示した。これらの結果は、透過電子顕微鏡による微視的形態の観察結果と良く対応していた。これらの結果や考察を基礎に、オキシ水酸化鉄の自己組織化過程やそれに及ぼすカチオンの重要性について検討した。
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