2003 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー電子ビームによるチェレンコフ発光を用いた新しいサブナノ領域分析
Project/Area Number |
15656153
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武藤 俊介 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (20209985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 朋子 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (90283415)
田辺 哲朗 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00029331)
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / 電子エネルギー損失分光 / 電子エネルギー損失広域微細構造 / エネルギー吸収端微細構造 / 非晶質 / 超高圧透過走査型電子顕微鏡 / カソードルミネッセンス / チェレンコフ光 |
Research Abstract |
本研究は超高圧電子顕微鏡における高速電子が固体中を通過する際に発するチェレンコフ光を測定することで材料の誘電的性質をナノメートルオーダーのスケールで可視化しようとする試みである。本年度はこれまで本研究グループが中加速電圧電子顕微鏡用に開発したカソードルミネッセンス測定用試料ホルダーを名古屋大学超高圧電子顕微鏡用に新たに作成した。またこの超高圧電子顕微鏡の走査機能を活用するために、新たにイメージのデジタル処理およびコンピュータへの直接取り込みのシステムを開発、完成した。現在この試料ホルダーの真空テストが終わり、実際に発光スペクトルを取得するテスト段階に入った。 また副産物として、このシステムと併用する電子エネルギー損失分光法の新たな解析手法を開発した。一つは最大エントロピー法を応用した時間分解測定法の開発であり、もう一つは電子チャンネリングを利用した、原子サイト選択的な電子状態測定の試みである。特に後者は超高圧電子顕微鏡の高速電子特有の電子チャンネリングパターンすなわち電子のロゼッタモーションを使って固体中の格子欠陥の情報を高い空間分解能で可視化しようとするものである。この現象を使って、自動車における排気ガス酸素センサーなどに使われているセリアジルコニア固溶体セラミックの解析を行い、重い電子系特有の価数揺動現象とそれに伴う酸素原子変位を明らかにし、この材料の特性を生み出すメカニズムの解明にほぼ成功した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Muto: "Maximum entropy spectral analysis of extended energy-loss fine structure and its application to time-resolved measurements"Philosophical Magazine. (印刷中). (2004)
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[Publications] S.Muto, S.Dhara, A.Datta et al.: "TEM characterization of nanodome on GaN nanowire formed by Ga^+ irradiation"Materials Transactions. Vol.45 No.2. 435-439 (2004)
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[Publications] S.Muto, H.Sugiyama, T.Kimura, T.Tanabe: "Structure of an Oxygen-Related Defect Complex in SiC Studied with Electron Energy-Loss Spectroscopy"Japanese Journal Applied Physics. Vol.43 No.3. 1076-1080 (2004)
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[Publications] S.Muto, H.Sugiyama, T.Kimura, T.Tanabe, T.Maruyama: "EXELFS/ELNES study of electron irradiation induced oxidation of α-SiC"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. (印刷中). (2004)
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[Publications] 荒井重勇, 武藤俊介, 村井盾哉, 佐々木厳, 右京良雄, 黒田光太郎, 坂公恭: "電子エネルギー損失分光法によるセリア-ジルコニア固溶体の規則相の解析"日本金属学会誌. 68巻5号(印刷中). (2004)