2004 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属イオンを含有したアモルファス酸化物薄膜における磁性ナノクラスターの光制御
Project/Area Number |
15656158
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平尾 一之 京都大学, 工学研究科, 教授 (90127126)
|
Keywords | 磁性ナノクラスター / フェライト / 酸化物薄膜 / スピングラス磁性 / 光磁性 |
Research Abstract |
酸化物磁性体は、記録メディアやモータなど極めて広範囲の応用に用いられているだけでなく、基礎的見地からも強磁性、フェリ磁性、反強磁性、スピングラス等の多彩な興味深い物性を示す。その中でもクラスタースピングラスは、隣り合うスピンを平行に揃えようとする強磁性相互作用と反平行に揃えようとする反強磁性相互作用が混在した状態、すなわち、「フラストレーション」と「ランダムネス」とが競合した際に生じる興味深いスピン状態である。 平成16年度は、外場(光、磁場)を印加して新規な光磁気機能を引き出すため、室温でクラスターグラス転移を示す材料の開発と光照射実験を行った。気相合成プロセスを用いて作製した亜鉛フェライト酸化物(ZnFe_2O_4)薄膜が、本来の反強磁性(ネール温度10K)とは異なり、室温でフェリ磁性的挙動を示すことを見出した。また、この薄膜の磁性はクラスタースピングラスであり、その磁気転移温度は室温より高い(〜325K)ことを確認した。Zn-K端におけるX線微細吸収構造(EXAFS)の解析とX線吸収近傍微細構造(XANES)の第一原理計算から、約60%のZn^<2+>がスピネル構造の八面体位置を占有することを実証するとともに、これがZnFe_2O_4薄膜の異常な磁気的性質をもたらすことを明らかにした。作製した薄膜に光を照射することにより、数%程度の小さい磁性変化が観察されたが、さらに大きな光誘起磁性を発現するためには、光励起状態において電荷移動を起こすような第3成分の添加が必要であることが示唆された。
|
Research Products
(5 results)