2003 Fiscal Year Annual Research Report
無機高分子と生体吸収性有機高分子のハイブリッド化によるマシナブル骨代替材料の開発
Project/Area Number |
15656162
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
幸塚 広光 関西大学, 工学部, 教授 (80178219)
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Keywords | ゾル-ゲル法 / 有機無機複合体 / 有機無機ハイブリッド / ヤング率 / 曲げ強度 / シリカ / セルロース / ポリビニルピロリドン |
Research Abstract |
Si(OCH_3)_4-酢酸セルロース(AC)-HNO_3-H_2O-THF-CH_3OC_2H_4OH溶液ならびにSi(OCH_3)_4-ポリビニルピロリドン(PVP)-(CH_3COOH or NH_3)-H_2O-CH_3OH-CH_3OC_2H_4OH溶液から作製したゾルを前駆体とし,30℃でゆっくりと溶媒を蒸発させてバルク状のシリカ/AC及びシリカ/PVP複合体をそれぞれ作製し、ゲル化後,30〜70℃の種々の温度で複合体を乾燥させた。 作製したバルク状の複合体はマシナビリティーに優れ,電気ノコギリで切断することが可能であった。SEM観察とEDX分析により複合体の微細構造・元素分布を評価したところ,シリカ/AC複合体はACリッチのマトリックス相と,シリカリッチの球状粒子(直径数ミクロン)からなり,一方,シリカ/PVP複合体はSEMスケールで1相であった。これは,ACは疎水性に富むためシラノール基をもつシロキサンポリマーとの相溶性に欠け,一方,PVPは親水性であるためシロキサンポリマーとの相溶性に優れるためであると考えた。 3点曲げ試験によって複合体の力学的性質を評価したところ,いずれの複合体においても出発溶液中の有機高分子/Si(OCH_3)_4比の増加にともなってヤング率・曲げ強度がともに減少し,また,乾燥温度の増加とともにヤング率・曲げ強度は増大した。ヤング率はシリカ/AC複合体,シリカ/PVP複合体でそれぞれ1.8-2.8 GPa,1.0-3.9 GPaであり,曲げ強度はそれぞれ49-88 MPa,17-79MPaであり,両複合体間で顕著な差がなかった。ただし,s-s曲線には,シリカ/PVP複合体の方が塑性変形しにくい傾向が見られた。
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