2003 Fiscal Year Annual Research Report
ダイラタント高分子ハイブリッドによる低周波吸収機能を持つ環境適合型繊維強化新材料
Project/Area Number |
15656165
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
住田 雅夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30016654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富永 洋一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30323786)
浅井 茂雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (80212463)
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Keywords | 高分子ハイブリッド / ダイラタンシー / 損失弾性率 / 制振材料 |
Research Abstract |
本研究では振動エネルギーを吸収できる新しい方法を高分子/機能物質からなる新規な複合材料により実現する。このとき、2つの新しい考え方を導入する。いずれの場合も、振動エネルギは熱に還元される。第一に振動エネルギーを損失弾性率の大きなマトリクスに伝え摩擦熱として消費させる。第二に振動エネルギを共有伝世フィラーを導電性物質ネットワークを介してジュール熱として散逸させる。これら二つの作用は相乗的に機能し従来の重量則を基本とした振動吸収メカニズムとは基本原理が全く異なる。本年度は母体となるマトリクスの特異な力学的粘弾性について次の三つのハイブリッド系を検討した。(1)ポリ乳酸(PLLA)/Poly(P-vinyl phenol)(PPVP)(2)アクリルゴム(ACR)/有機低分子フェノール(TMBP)(3)ナイロン6(Ny6)/ナノカーボン繊維(VGCF)。 PLLA/PVPP系ではハイブリッド材料の損失正接のピーク値は2~2.5を示しPPVPの増加に伴いピークがブロード化している。PPVPの添加に伴いTgは直線的に増加し、非拘束型制振材料の制振性能の一つである損失係数の周波数依存性はピーク値がPPVPの添加量とともに低周波数側にシラトすることが明らかとなった。ACR/TMBP系では有機低分子フェノールの添加に伴いTgが-20℃〜60℃まで上昇し損失正接のピーク値が2.5〜5.0まで上昇した。これらの有機ハイブリッド系ではダイラタントマトリクスにより高弾性でありながら高力学的損失性を併せ持っ新規な制振複合系の可能性を有していることが明らかとなった。(3)のマトリクスに強誘電体であるチタン酸バリウム粉末を添加した系では電気的損失に伴う特異な音響特性を示すとともに、損失弾性率の温度依存性がきわめて少ない制振材料が得られており、新規なメカニズムが作動していることが確認できた。ダイラタンシーを付加することによりこれら制振材料の性能をさらに増大させることが期待できる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tetsuya ITO, Tadashi MIURA, Masao SUMITA: "Novel damping materials of organic hybrid independent of the mass low"Proceedings of the 8^<th> Japan International SAMPE Symposium Tokyo Big Sight, Tokyo, Japan November 18-21,2003. 1. 27-30 (2003)
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[Publications] Hajime KANEKO, Ikuo KANEKO, Masao SUMITA: "The relation between electrical dynamic and acoustic properties of the Nylon6/BaTiO3/CF composites"Proceedings of the 8^<th> Japan International SAMPE Symposium Tokyo Big Sight, Tokyo, Japan November 18-21,2003. 1. 111-114 (2003)
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[Publications] H.KANEKO, K.INOUE, Y.TOMINAGA, S.ASAI, M.SUMITA: "Damping performance of polymer blend/organic filter hybrid materials with selective compatibility"Materials Letters. 52・1-2. 96-99 (2002)