2003 Fiscal Year Annual Research Report
導電性高分子における熱電特性発現の基礎的研究-エコデバイスの実現を目指して-
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15656171
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
篠原 嘉一 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (70343853)
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Keywords | 熱電特性 / 導電性高分子 / ポリチオフェン / ゼーベック係数 / 導電率 |
Research Abstract |
熱電性能は、ゼーベック係数:S(1K当たりの熱起電力)、導電率:σおよび熱伝導率:κの関数として、S^2σ/κで表される。高分子は無機材料よりも低い熱伝導率を有することから、高分子系熱電材料を開拓するためには、熱起電力の高い導電性材料が必要となる。最近、配向性や側鎖の制御により安定的に高い導電率(10^2Scm^<-1>以上)を示す導電性高分子が開発されている。しかし熱起電力が小さいという問題は手付かずで残されたままであり、また研究の実施に当っては、得られた高分子の熱電特性を定量的に評価する手法の確立も不可欠である。 そこで本研究では、まず導電性高分子のキャスト膜の熱電特性(ゼーベック係数、導電率)を面内方向について評価する手法を検討し、室温において誤差±1%以下の定量測定装置を作製した。 次に大気中で比較的安定性が高い導電性ポリチオフェン類を対象として、側鎖の大きさと熱電特性の関係について検討した。側鎖が-Hのポリチオフェンは電解重合により合成して、厚さ5μm程度の膜状試料を得た。n-hexyl、n-octyl、n-dodecylのポリアルキルチオフェンは酸化重合で合成し、クロロホルムに溶解してキャストし、厚さ数μm程度の膜状試料とした。いずれの方法で合成した試料もドーパントの添加量を変化することで導電率を制御した。導電率の制御範囲は10^<-4>〜10^1S/cmとした。得られた結果は以下の通りである。 1)側鎖の大きさと関係なく、導電率が大きくなるとゼーベック係数が小さくなる傾向にある。 2)導電率が10^<-1>S/cmよりも小さい場合は、側鎖が小さいほどゼーベック係数が大きくなる。 3)導電率が10^<-1>S/cmよりも大きい場合は、ポリチオフェン類の熱電特性を他の導電性高分子と比較すると、ポリアセチレンと同程度である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 小原一樹, 石井研人, 篠原嘉一, 中西八郎: "導電性高分子ポリチオフェン類の熱電特性"2003年度傾斜機能材料論文集. (印刷中). (2004)
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[Publications] Y.Shinohara, K.Ohara, Y.Imai, Y.Isoda, H.Nakanishi: "Application of Conductive Polymers to Thermoelectric Materials"IUMRS Transactions 2003. (in printing). (2004)
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[Publications] K.Ohara, Y.Shinohara, H.Nakanishi: "Effect of Main Chain Structure on Thermoelectric Properties of Polythiophene"IUMRS Transactions 2003. (in printing). (2004)
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[Publications] Y.Shinohara, K.Ohara, Y.Imai, Y.Isoda, H.Nakanishi: "Problems of Conductive Polymers as Thermoelectric Materials."Proc. 22nd International Conference on Thermoelectrics. 298 (2003)
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[Publications] 篠原嘉一: "傾斜機能材料の開発と応用、上村誠一、野田泰稔、篠原嘉一、渡辺義見"(株)CMC出版. 18 (2003)