2004 Fiscal Year Annual Research Report
スパッタリング反応中に現れる含金属短寿命活性種とその反応メカニズムの解明
Project/Area Number |
15656184
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡林 利明 静岡大学, 機器分析センター, 助教授 (70224045)
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Keywords | スパッタリング / プラズマ / 含金属活性種 |
Research Abstract |
本助成により、工業的に重要である反面、高価であるために研究の進んでいなかった貴金属類のスパッタリング反応に関する研究を行った。本研究期間に対象とした貴金属は、金および銀である。比較のために同じ11族金属である銅についても実験を行った。これらの金属は非常にスパッタリング効率が高いことが知られており、貴金属類に対する研究の手始めとして、最適なもののひとつであると考えられる。 金を含む活性種に関する分光学的情報はハロゲン化物を除くとほとんど知られていない。数少ない情報を元に、まず酸化金AuOのミリ波・サブミリ波スペクトルの観測を行なった。反応ガスとして少量の酸素ガスをアルゴンガスで希釈したものを用いた。AuOについては、分光学的な情報がほとんどない。そこでスペクトルの捜索から始めて、ついで帰属・同定を行って正確な分子定数を決定した。AuOのスペクトル長時間の実験を行なっても強度はさほど減少せず、実験終了後のターゲットにも大きな変色は見られなかった。これは、金の腐食性の小ささから予想される通りであった。 また金とその同族元素はシアノ基と親和性が高いこと可能性が考えられた。そこで、アセトニトリルを用いた反応により、プラズマ中に生成すると考えられるシアノ化合物MCNの検出を試みた。これら分子種のスペクトルは予想通りかなりの強度を持っており、容易にAuCN, AgCN, CuCNのスペクトルを検出することができた。このMCNの生成は反応条件の変化に比較的鈍感であり、長時間の実験でも安定してMCNを生成した。本研究は、第11族金属に対する新しいスパッタリングの系を提供するものと思われる。
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Research Products
(5 results)