2005 Fiscal Year Annual Research Report
スパッタリング反応中に現れる含金属短寿命活性種とその反応メカニズムの解明
Project/Area Number |
15656184
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡林 利明 静岡大学, 機器分析センター, 助教授 (70224045)
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Keywords | スパッタリング / プラズマ / 含金属活性種 |
Research Abstract |
本研究では、機能性薄膜や半導体などの製造工程などで多用されるスパッタリング反応中に存在する含遷移金属多重項活性種の性質とその反応性についての研究を行った。特にスパッタリング効率の高い第10族金属(Ni, Pd, Pt)および第11族金属(Cu, Ag, Au)に注目し、さまざまな反応ガス中をアルゴンで希釈して用いた場合の金属の存在形態について調べた。ただし、過去にまったくスペクトルが観測されていない活性種のほうが多いほどであったので、スペクトルの同定を誤らないように十分に注意した。以下に結果の一部をまとめる。 (1)ハロゲン系ガス(CF_4,Cl_2,Br_2,CH_3I)Niおよび第11族金属において多量の二原子MXラジカル(M:金属,X:ハロゲン)の生成が認められた。特にMClの生成効率は高い。 (2)酸素ガス(O_2)すべての第10族・第11族金属金属においてMOの生成が認められた。その量はNiにおいてはNiXよりも多いほどであった。一方Pdでは比較的生成量が少なかった。 (3)硫黄系ガス(H_2S, CS_2)Cu, NiにおいてMSの生成が認められた。 (4)水(H_2O)Cu, AgではMOHが生成したが、AuではAuOHは生成せず、代わりにAuOの生成が認められた。 (5)一酸化炭素(CO)第10族金属においてMCOが生成した。MCおよびMOの生成は認められない。一方、第8族金属であるFeを用いると、FeCOは生成せずに酸化物FeOが生成した。 (6)シアン系ガス(CH_3CN)Niおよび第11族金属において、かなり効率よくMCNが生成した。 これらのことから、スパッタリング反応を起こしているプラズマ中では、それぞれの反応ガスに特徴的な含遷移金属多重項活性種が生成していることが確認された。また、(4)や(5)のように金属により活性種の形態が大きく異なる場合があり、これが生成する薄膜の分子構造に生成に大きく影響を与えていることは容易に推測できる。今後、これらについてさらに詳しい研究を進めてゆく。
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Research Products
(1 results)