2003 Fiscal Year Annual Research Report
次世代高性能磁石開発を目指したナノコンポジット磁性粉体の新規製造法
Project/Area Number |
15656196
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸田 昌浩 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60243903)
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Keywords | ナノコンポジット磁石 / 希土類磁石 / サマリウム-コバルト合金 / コロイド / シリカ被覆ナノ粒子 / マイクロエマルション |
Research Abstract |
本研究では,Sm-Co系合金を硬磁性相としCo金属を軟磁性相とするナノコンポジット磁石を創製することを目的とし,その創製に向けた基礎的検討を行った。 本年度は,硬磁性相あるいは軟磁性相のどちらかを連続相とし,その中にナノスケールの他方の磁性相が分散した状態のナノコンポジット磁石の創製を検討した。このような状態は,一方の成分を過剰にすることで得られる可能性があると考え,まずコロイド沈殿法を用いてSmとCoの組成を大きく変化させて合金を調製する検討を行った。しかし,Sm/Co比を0.02〜50と大きく変化させても,マクロスケールで均一な磁性粉しか得ることはできなかった。 次に,分散相をシリカで被覆しておき,そのシリカ被覆ナノ粒子を連続相の中に埋め込む検討を行った。 まず,分散相をSm-Co合金として,シリカ被覆Sm-Co合金ナノ粒子の調製について検討した。この場合,Sm-Co合金前駆体をシリカで均一被覆したナノ粒子を得ることはできたが,その粒子をCa還元拡散処理してSm-Co合金とすることができなかった。 そこで,分散相を軟磁性相のCo金属とする場合について検討した。Coの還元は容易であるため,シリカ被覆Coナノ粒子を調製することができた。さらに,この被覆ナノ粒子とSm-Co合金前駆体粒子を均一混合してCa還元拡散処理を行ったところ,Co金属+Sm_2Co_7合金+SmCo_2合金が共存した磁性粉が得られた。これらの結晶相の組み合わせは,従来報告されている相図では共存し得ないものである。また,この試料のTEM観察からCo金属ナノ粒子がSm-Co合金相の中に分散している様子も認められ,軟磁性相であるCo金属相と硬磁性相であるSm-Co合金相を共存したナノコンポジット磁石に近い状態を得ることに成功した。
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