2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物系ナノ・マイクロチューブの創製とその機能に関する研究
Project/Area Number |
15656206
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
三宅 孝典 関西大学, 工学部, 教授 (00351495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池永 直樹 関西大学, 工学部, 助教授 (20232209)
小田 廣和 関西大学, 工学部, 教授 (30067756)
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Keywords | ナノチューブ / キャピラリーチューブ / 酸化鉄 / マイクロチューブ |
Research Abstract |
酸化物系ナノ・マイクロチューブを合成する基礎検討として、キャピラリーチューブリアクターを用いて無機塩の熱分解を検討した。無機塩としては硝酸鉄(III)水和物を、溶媒としてはホルムアミドを選択した。溶媒の選択にあたっては、無機塩を溶解するための高い極性と無機塩の分解温度以上の沸点を持つことが必要条件であった。 内径、材質や表面処理方法の違う4種類のキャピラリーチューブを用いて硝酸鉄(III)水和物の熱分解を行うと、硝酸鉄の分解速度と得られた酸化鉄の一次粒子径には大きな違いが認められた。即ち、有機系の材料であるポリイミドチューブ、また、内面を疎水化したガラスチューブを用いた場合には、一次粒子径は原料分解率に対し直線的に大きくなった。一方、ガラスチューブ(未処理)の場合には、一次粒子径に頭打ちの傾向が認められ、原料分解率によらず一定の一次粒子径の酸化鉄が得られる領域があると言う興味ある知見が得られた。比較として内容積50mlのオートクレーブも用いたが、原料分解率が低い場合には(40%以下)、一次粒子径がキャピラリーチューブの場合の半分以下となった。なお、結晶構造はいずれのリアクターの場合も同じ酸化鉄であった。 これらの挙動には、2つの因子が関係していると考えられた。即ち、(1)反応器内表面積と溶液体積の比、(2)反応器表面物性である。キャピラリーチューブの方が反応速度が大きくなったのは、(1)の表面と原料塩との接触が良くなったためと推定できる。また、粒子径の頭打ち挙動については、(2)のキャピラリーチューブ内表面の親水性、疎水性が関係していると考えられるが詳細は今後の検討課題である。 今回得られた酸化鉄がチューブ状になっているかどうかの確認を急ぐが、チューブ状でない場合にはチューブ状にするための方策を今後検討する。
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