2003 Fiscal Year Annual Research Report
深海魚由来細胞株を用いた高水圧環境下での細胞分裂の分子生物学的解明
Project/Area Number |
15656214
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小山 純弘 独立行政法人海洋研究開発機構, 極限環境生物フロンティア研究システム, 研究員 (50344297)
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Keywords | 培養型高圧顕微 / 深海魚 / コンゴウアナゴ / 加圧培養 / 深海魚由来細胞 / アクチン / チューブリン / 細胞骨格 |
Research Abstract |
私は、保温保圧型深海生物捕獲飼育装置を開発し、水深1162mに棲息する深海魚コンゴウアナゴの大気圧条件下での、初代培養および細胞の凍結保存に成功している(若手研究A、課題番号14704007)。この深海生物由来細胞株の樹立により、ようやく細胞レベルの研究が可能となった。 そこで本年度では、株化したこのコンゴウアナゴ由来繊維芽細胞の高圧下での耐圧特性について、各種地表生物由来細胞株と比較検討した。そして、コンゴウアナゴ由来繊維芽細胞の各種細胞骨格の染色条件について検討した。さらに、加圧下で顕微鏡観察可能な装置の開発に着手し、本年度完成した。 結果 1)20分間の加圧でマウス細胞は70MPa(生存率24%)、コンゴウアナゴ細胞は150MPa(生存率100%)まで生存細胞を確認した。また、マウス細胞は100MPa、コンゴウアナゴ細胞は200MPa20分間加圧により、25cm^2カルチャーボトル内の全ての付着細胞が死滅する事も確認した。細胞骨格の蛍光免疫染色の結果から、コンゴウアナゴのアクチンは150MPa、チューブリンは80MPaから、それぞれ細胞内細胞骨格の脱重合を観察した。またコンゴウアナゴ細胞は、150MPaまでの加圧処理によって脱重合したアクチンの再ポリマー化を確認した。一方、チューブリンについてはアクチンと異なり、125MPa以上の加圧条件で、再ポリマー化が確認されなくなった。 2)100MPaまで加圧した状態で、細胞に酸素や栄養分を供給しながら、化学物質の投与や電気刺激ができる、培養型高圧顕微鏡の開発に成功した。
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Research Products
(1 results)