Research Abstract |
今年度は,クリストバル岩にハフニウム(Hf)を添加して,中性子放射核廃棄物用遮蔽材及び工学バリアとして利用するための,基礎データ取得を行った. 1.クリストバル岩(珪質頁岩)は,多孔性と,それに付随する広大な比表面積(64m^2/g)を有しており,物理吸着特性を持つ.また,ハフニウムや銀(Ag)等の特定の元素に対しては,稀硝酸及び稀塩酸溶媒条件下で化学吸着特性を示すことが明らかになった. 2.クリストバル岩を産する新第三紀中新世の女川層は,還元環境下で生成した堆積岩であるので,中性子遮蔽能力のある,水素(H),リチウム(Li),ホウ素(B),炭素(C)を含む.なお,水素含有量は電荷バランスから推測を行った.リチウム含有量は14ppm.ホウ素については,ガラス容器等からの汚染の問題があるため,定性分析のみ行った.炭素含有量は,有機物として6〜7wt.%である. 3.比重が小さく(約1.24で,普通コンクリートのほぼ半分である),放射性廃棄物輸送時の遮蔽材として有利である. 4.クリストバル岩は,鉄含有量が比較的低いため(FeOとして1.25wt.%),中性子照射に伴う二次γ線発生量が小さい. 5.カルシウム(Ca)を含むクリストバル岩は,中性子照射に伴い,放射性生体構成元素で,半減期の長い^<41>Caを生成させるが,普通コンクリートに比べれば,その生成量は極めて低い. 6.クリストバル岩は,中性子による放射化で問題となる,コバルト(Co),ユーロピウム(Eu)を含まない(通常のICP発光分析で,検出限界以下である).
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