2003 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン・金属錯体積層構造を用いた機能調和型高効率光電変換機能材料の構築
Project/Area Number |
15656242
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
尾上 順 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (50241245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 愛子 理化学研究所, 表面解析室, 先任技師 (60342820)
星野 幹雄 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 客員教授 (90101047)
飛田 聡 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (30361778)
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Keywords | フラーレンポリマー / 光重合 / 電子線重合 / 電子輸送特性 / 価電子構造 / 光電子分光 / 密度汎関数 |
Research Abstract |
本申請では、太陽光を効率良く吸収する金属ポルフィリン錯体と電子親和力が大きいフラーレンを交互に組み合わせた積層構造を創製し、その構造と電子構造を評価し、光電変換機能の評価を行ない、高い量子効率を有する機能調和型光電変換素子への展開を目的とする。 今年度は、主としてフラーレン・金属錯体積層構造の光電変換特性の基礎となるフラーレンポリマーの伝導特性と電子構造に関する研究を行った。フラーレンポリマーとしては、光重合および電子線重合の2種類について行った。四端子測定の結果、室温・大気下において光重合フラーレンポリマーは典型的な真性半導体的特性を、電子線重合フラーレンポリマーは金属的特性を、それぞれ示すことがわかった。これらの伝導性の起源について、密度汎関数分子軌道計算を用いて最高占有分子軌道(HOMO)の波動関数を調べた結果、半導体特性を示す光重合ポリマーでは、フラーレン分子同士の結合部分で、電子が存在できない節が存在しており、分子間同士で電子が移動できないことがわかった。これがエネルギーギャップの起源であると考えられる。これに対して、電子線重合ポリマーでは、HOMOの波動関数が全体に拡がったパイ電子共役系になっていることがわかり、このことが金属的性質の起源になっていることを明らかにした。実際に、電子線重合ポリマーの金属的性質をin situ光電子分光により調べた結果、フェルミ準位に状態密度が生じていることがわかり、金属であることを実験的に解明した。 この他、積層構造を評価するための赤外反射分光装置を超高真空成膜装置に取り付けた。また、光電変換機能をその場で評価するために、四端子プローブ機構を設計製作し光電子分半装置に組み込んだ。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] J.Onoe, T.Nakayama, M.Aono, T.Hara: "Structural and electrical properties of an electron-beam irradiated C60 film"Applied Physics Letters. 82. 595-597 (2003)
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[Publications] T.Hara, J.Onoe: "Vibrational analysis of peanut-shaped Cl20 fullerenes"European Physical Journal D. 24. 389-392 (2003)
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[Publications] J.Onoe, T.Nakayama, M.Aono, T.Hara: "The electron transport properties of photo- and electron-beam-irradiated C60 films"Journals of Physics and Chemistry of Solids. 65. 343-348 (2004)
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[Publications] J.Onoe, T.Nakayama, M.Aono, T.Hara: "Electronic properties of a two-dimensionally hexagonal C60 photopolymer"Journal of Applied Physics. (in press). (2004)
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[Publications] 中山知信, 尾上 順: "ナノテクノロジー大事典(川合知二監修)2章21節担当"工業調査会. 989 (2003)