2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15657007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山村 則男 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (70124815)
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Keywords | 生態系 / 進化 / コンパートメントモデル / 多様性 / 相利共生 / 空間構造 / 被食防御 / 微生物 |
Research Abstract |
(1)地理的区分(熱帯、温帯、寒帯、および標高)や景観区分(森林、草原、湿地、湖沼、海洋)による生態系の特徴抽出を文献調査により行い、モデルで扱うべき生態系の分類と特徴整理を行った。各生態系の特徴の差を効率よく記述することを目的として、生態系進化モデルの基本構造であるコンパートメントの設定を行った。コンパートメントのダイナミクスを記述する形で、物質循環の式と進化の式を含んだ、生態系自己組織化モデルの骨格を作成した。この数理モデルの予備的数値計算によって、環境パラメーターの違いが、進化と個体群動態を通じて全く異なる生態系を創出することを確かめた。 (2)生態系全体のモデルの構造を作成すると同時に、主要な相互作用に注目した部分系の進化と個体群動態のモデルも提出し、その解析も行った。 (a)植物と微生物の相利共生関係をモデル化し、空間構造と限定された分散パターンが、相利共生の進化に大きく貢献していることが分かった。(論文発表) (b)植物と植食動物の関係に注目し、動物が植物を食うことによってかえって植物の生産力や繁殖力が増す現象の進化的機構が説明できた。(論文発表) (c)植物と植食動物とそれを食う天敵の3者系に注目した。植物が食われたときに天敵を呼ぶための揮発化学物質を放出する現象、さらに、自分が食われなくても近隣の個体が食われたときに化学物質を放出する現象の進化的意義を数理モデルにより明らかにした。(論文発表)
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yamamura, N., Higashi, M., Behera, N., Wakano, J.Y.: "Evolution of Mutualism through Spatial Effects."Journal of Theoretical Biology. 226. 421-428 (2004)
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[Publications] Yamauchi, A., Yamamura, N.: "Herbivory promotes plant production and reproduction in nutrient-poor conditions : Effects of plant adaptive phenology."American Naturalist. 163. 138-153 (2004)
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[Publications] Kobayashi, Y., Yamamura, N.: "Evolution of Signal Emission by Non-infested Plants Growing near Infested Plants to Avoid Future Risk."Journal of Theoretical Biology. 223. 489-503 (2003)