2003 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的手法にベタシアニン合成系遺伝子のクローニング
Project/Area Number |
15657008
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小関 良宏 東京農工大学, 工学部, 教授 (50185592)
|
Keywords | ベタシアニン / オシロイバナ / cyclo-DOPA / トランスポゾン / cyclo-DOPA配糖化酵素 |
Research Abstract |
高頻度の易変性が見られるオシロイバナから抽出した核DNAおよびmRNAから合成したcDNAをテンプレートとして,Ac/Ds型およびEn/Spm型トランスポゾンのトランスポゼースにおいて共通に見られるアミノ酸配列をもとにdegenerateプライマーを用いてPCRを行ったところ,Ac/Ds型トランスポゾンについては1種類,En/Spm型トランスポゾンについては4種類のDNA断片が得られた。Ac/Ds型トランスポゾンについては,核DNAからinverse PCR法によってその全長を得て,さらにそのトランスポゾンの末端逆反復配列に対するプライマーを用いてinverse PCR法によって,そのトランスポゾンが挿入されている近傍のDNA断片をクローニングしたところ,機能未知の遺伝子のイントロンに挿入されていることがわかった。この遺伝子に対する全長cDNAを赤色花片由来のmRNAからクローニングし,様々な花色の花片および植物体の各種組織・器官からmRNAを抽出してノーザン解析を行ったところ,このcDNAに対するmRNAは黄色花で特異的に発現が抑制されていることがわかった。さらにこのcDNAにコードされている酵素タンパク質の基質特異性を明らかにするために,市販されていないベタシアニン合成系中間代謝物であるベタラミン酸について,ベタニジンから合成し精製することができた。また,これまでの報告でベタシアニン合成系の中間代謝物と考えられていたcyclo-DOPAについて,これに配糖化する酵素活性を見いだし,さらにこれに対するcDNAを得た。このことから,ベタシアニン合成系においては,アグリコンの段階で配糖化されるのではなく,合成系の途中のステップであるcyclo-DOPAの段階で配糖化されることを明らかにした。
|