2003 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物ペルオキシソームがはたす未知機能の網羅的探索
Project/Area Number |
15657014
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
林 誠 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (50212155)
|
Keywords | ペルオキシソーム / 脂質分解 / β酸化 / グリオキシソーム / 光呼吸 |
Research Abstract |
植物のペルオキシソームは従来その機能からグリオキシソーム、緑葉ペルオキシソーム、未分化なペルオキシソームに細分されていた。一方、近年分子遺伝学的手法により単離された花序形成、光形態形成、種子形成不全突然変異体の原因遺伝子がペルオキシソーム関連タンパク質をコードしている例がいくつか報告され、ペルオキシソームに未知機能が存在する可能性が示唆されている。そこで、バイオインフォマティクスとポストゲノム解析を組み合わせることによってペルオキシソームの未知機能を網羅的に探索するための方法論を開発した。 ペルオキシソームタンパク質は、その分子内に特有の輸送シグナルが存在する。アラビドプシス遺伝子にはペルオキシソーム輸送シグナルを持つものが256個存在する。また、ペルオキシソーム膜タンパク質など輸送シグナルを持たないペルオキシソーム関連遺伝子は30個知られている。これら合計286個の遺伝子うち、タンパク質の機能が証明されているのはわずか20種に過ぎない。そこで、それらのORFに対応するESTもしくは遺伝子断片をPCR法にて増幅し、ペルオキシソーム関連遺伝子の候補すべてを網羅するDNAマクロアレイを作製した。アラビドプシスのさまざまな組織よりRNAを精製し、DNAアレイによって統計学的解析を行った結果、これらペルオキシソーム関連遺伝子が遺伝子発現パターンの違いによって5つのグループに分類できることが明らかになった。 これらのうち2つは、それぞれグリオキシソームと緑葉ペルオキシソームに必須な遺伝子セットがすべて含まれていた。残りは、根、子葉のみで特異的に発現する遺伝子、および調べた器官で共通に発現する遺伝子に分類された。これらの遺伝子の機能は未同定である。今後は、これら遺伝子の機能を同定することで、ペルオキシソーム未知機能を明らかにする。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Kamada, T., et al.: "Monitoring expression profiles of 281 peroxisomal genes revealed functional diversity of plant peroxisomes"Plant Cell Physiol.. 44. 1275-1289 (2003)
-
[Publications] Fukao, Y., et al.: "Novel glyoxysomal protein kinase, GPK1, identified by proteomic analysis of glyoxysomes in etiolated cotyledons of Arabidopsis thaliana"Plant Cell Physiol.. 44. 1002-1012 (2003)
-
[Publications] 二藤和昌ら: "植物ペルオキシソームの機能分化と生合成機構"実験医学 増刊 細胞内輸送研究の最前線. 21. 1917-1923 (2003)
-
[Publications] Hayashi, M., et al.: "Entering a new era of research on plant peroxisomes"Cur.Opin.Plant Sci. 6. 577-582 (2003)
-
[Publications] 林 誠: "光合成事典(ペルオキシソーム関連各項目)"学会出版センター. 430 (2003)