2003 Fiscal Year Annual Research Report
ザリガニ歩行運動の自発的開始にかかわる中枢神経機構の神経生理・解剖学的解析
Project/Area Number |
15657018
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高畑 雅一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10111147)
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Keywords | ザリガニ / 歩行運動の自発的開始 / 筋電図 / トレッドミル / ステッピング / 接地条件 / 長節屈筋 / 歩行開始時点 |
Research Abstract |
本年度は、歩行運動にかかわる脳内ニューロンの活動を記録するためのトレッドミル装置を制作するとともに、自発的な歩行運動の開始時点を定義するための客観的基準を歩脚からの筋電図を用いて確立した。トレッドミルの動き検出システムに光学マウスを用いることにより、これまで以上の制度でザリガニの動きを記録することが可能となった。また、このトレッドミルは、ザリガニの動きに合わせてガラス管微小電極とそれを保持するマニピュレーターも動くよう工夫したため、脳内ニューロンからの長時間にわたる細胞内記録が可能となった。歩行の開始時点を客観的に確定することが可能かどうかを明らかにする目的で、8本の歩脚すべてから筋電図(長節屈筋)記録を行い、接地していない条件および接地している条件で、自発的に脚のステッピング運動が開始される時の筋活動を解析した。その結果、自発的な歩行運動の開始(歩脚のステッピング運動の開始)に先立って、すべての歩脚でほぼ同時に(接地条件下で約0.1秒以内)筋活動が持続的に上昇することが判明した。ステッピングのための律動的筋活動は、この後に続いて起こるが、前・後方歩行によってそれぞれ特定の歩脚からステッピングが起こることが判明した。この結果は、歩行運動の自発的開始を定義するには、どの歩脚から筋電図記録を取ることによっても可能であることを示している。また、歩行運動で見られる左右歩脚のステッピング運動は、無接地条件下では見られず、接地条件下でのみ確認された。この結果は、歩行運動パターンの形成に接地にともなう感覚信号が重要な働きをしていることを示す。トレッドミル上での実験は、接地条件下で行われる。約0.1秒の誤差の中で歩行運動開始時点を特定できることを示した今年度の研究成果は、次年度に行う自発的歩行開始に関わる脳内ニューロンの検索のための基礎となるもので、本研究計画でのその異議は極めて大きい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hiraguchi, T., Yamaguchi, T., Takahata, M.: "Mechanoreceptors involved in the hindwing-evoked escape behaviour in cricket, Gryllus bimaculatus"Journal of Experimental Biology. 206. 523-534 (2003)
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[Publications] N.Hama, M.Takahata: "Effects of leg movements on the synaptic activity of descending statocyst interneurons in crayfish, Procambarus clarkii"Journal of Comparative Physiology. 189. 877-888 (2003)
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[Publications] Tsuchida, Y., Hama, N., Takahata, M.: "An optical telemetry system for underwater recording of electromyogram and neuronal activity from non-tethered crayfish"Journal of Neuroscience Methods. (in press). (2004)