2004 Fiscal Year Annual Research Report
単細胞光合成生物における新規セレノプロテインの探索および生理機能の解明
Project/Area Number |
15657026
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
白岩 善博 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40126420)
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Keywords | ハプト植物 / 円石藻 / セレノプロテイン / プロテインジスルフィドイソメラーゼ / 微細藻類増殖制御 / セレノシステイン / 植物プランクトンブルーム / チオレドキシンドメイン |
Research Abstract |
円石藻とは、ハプト植物門円石藻綱に属し、細胞表面に方解石型炭酸カルシウムからなる結晶構造体(ココリス)を有する海洋性の単細胞藻類である。白亜紀における大増殖の結果、ドーバー海峡の白い崖(White Cliff)形成の原因生物としても知られる。我々は、円石藻がその増殖に稀少元素であるセレンを必須元素として要求することを既に発見した。そこで、セレンの機能について研究した。円石藻Emiliania huxleyiに放射性亜セレン酸(^<75>Se)を添加し、特異的に^<75>Seラベルされたタンパク質を検索し、cDNAクローニングを行い、その塩基配列の相同性からそのタンパク質を同定し,塩基およびアミノ酸配列特性等を調べた。その結果、6種のセレノプロテインを見いだした。その中で最も多く^<75>Seでラベルされ、タンパク質量も多いEhSEP2は、セレノシステインを構成成分とし、チオレドキシンドメインを良く保存したプロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)との相同性が非常に高かった。更に、その誘導がセレンの存在量に依存することも明らかにした。ただし、TGA終止コドンをセレノシステインとして読み替えて導入する場合のセレノシステイン導入配列(SECIS)は、他の生物で既に知られているものは見いだすことができず、これまで知られていたSECISとは大きく異なるものであった。セレノシステインを有するPDIはこれまでどの生物にも知られておらず、EhSEP2は真核生物型の新規セレノプロテインで、タンパク質のフォールデイング機能を介して円石藻の増殖を制御する重要な分子であることが考えられる。さらに、亜セレン酸の円石藻細胞の取込み速度の速度論的解析から、特異的なトランスポーターの存在を示唆した。また、セレンが低分子の有機化合物として細胞内に保持され、その一部がセレノプロテインへと転換されることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)