2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物における新規なnon-coding RNAの機能に関する研究
Project/Area Number |
15657038
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 敦之 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90177428)
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Keywords | non-coding RNA / シロイヌナズナ / 花茎伸長 / micro RNA |
Research Abstract |
シロイヌナズナにおける、花茎伸長に欠損のある変異体(ac12)について、その原因配列を探索した結果、non-coding RNAの遺伝子に変異が起きている可能性が示唆された。つまり、塩基置換の検出された部分の周辺5.5kbのDNA断片を野性型からクローニングし、変異体に導入したところ、表現型が回復するトランスジェニック植物が得られたにもかかわらず、この5.5kbのDNA断片中には、まともなORFや既知のRNA分子の遺伝子は検出されなかった。このことは、この5.5kbのDNA断片がトランスに機能することを示していると同時に、タンパク質分子ではなく、翻訳されない何らかの新規なRNA分子が働いていることを示唆している。 変異塩基の周辺は、そこからの転写産物がヘアピン構造をとる配列を有しており、micro RNAが転写されて機能している可能性が考えられた。ノーザン法やRNaseプロテクション法による、転写産物の検出にはまだ成功していないが、アクリルアミドゲルで分離した短いRNA分子をプローブとしたサザン法を行った結果、この5.5kbのDNA断片に20ヌクレオチドほどの分画のRNAが特異的にハイブリダイズする結果が得られている。 一方、表現型を相補するためにこの5.5kbのDNA断片中のどの配列が必要か調査した。その結果少なくとも、変異塩基の上流523bp、下流611bpの1134bpのDNA断片を導入すれば、変異が回復することがわかった。 現在、この領域からの転写産物を直接的に同定するために、人工的に合成した21ヌクレオチドのRNAを用いて、ノーザン法やRNaseプロテクション法の条件設定を行うとともに、RT-PCRによるmicro RNAのクローニングを試みている。
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