2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15657042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久下 周佐 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (50186376)
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Keywords | 活性酸素種 / Yap1 / FRET / 蛍光エネルギー移動法 / GFP / シグナルの可視化 / 活性酸素シグナル / レドックスシグナル |
Research Abstract |
我々は、出芽酵母の酸化ストレス感知蛋白質であるYap1転写因子が、酸化ストレス(活性酸素種)を受け取ってジスルフェド結合を起こすことを示してきた。本研究では、Yap1の制御ドメインを用いて活性酸素種の発生・消失を生細胞内でリアルタイムに可視化することを目的としてしいる。Yap1のN末端およびC末端に緑色蛍光蛋白質のCFPおよびYFPを融合しYap1-FRETを構築した。この場合、420nmでYap1-FRETのCFPを励起させた時に、CFPをYFPが構造上近い位置に存在した場合は蛍光エネルギー移動(FRET)によりYFPが励起され535nmの蛍光強度(FRET強度)が増強されるが、離れている場合はCFPの480nmの蛍光強度が高くなると考えられる。Yap1-FRETを、細胞質が酸化的に傾いている変異細胞(チオレドキシン欠損株)内発現された場合にのみFRET強度が上昇すること、このFRET強度は還元剤の培地中への添加により数十秒以内に減少することが判明した。そこで、野生株の細胞質で(より還元状態で)活性酸素種を感知するYap1-FRETを得る目的で、Yap1制御ドメインにランダムに変異を付加した後に、Yap1の転写能(酵母の酸化ストレス感受性)を指標とした酵母遺伝学的スクリーニングを行った。その結果、取得した変異型Yap1-FRETを発現させた生細胞内で、ミトコンドリアから発生したと考えられる活性酸素を定量的・空間的に可視化することに成功した。現在、ヒト培養細胞内でのYap1-FRETの発現にも成功しており、解析が進んでいる。本研究成果は、増殖シグナルや細胞の生死の方向性を決定するシグナルとしての活性酸素種(レドックスシグナル)の時空的シグナルの可視化につながり関連分野に与える影響は大きい。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Okazaki, S., Naganuma A., Kuge, S.: "Peroxiredoxin-mediated redox regulation of the nuclear localization of Yap1, a transcription factor in budding yeast"Antioxidant and Redox Signaling. 6・March(In press). (2004)