2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15657044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東江 昭夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90029249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 泰 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50229407)
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Keywords | ミトコンドリア / アクチン骨格 |
Research Abstract |
二倍体細胞時に、一倍体時以上に必要とされる個体存続機構の存在を調べるために、出芽酵母において、一倍体時には欠失しても細胞の生存には関わらないものの、二倍体時に欠失すると細胞の生存が著しく阻害される遺伝子の検索を整列遺伝子破壊株ライブラリーを用いて行った。死細胞を染めるフロキシンBを用いて細胞の生存率を一培体における場合と二倍体における場合で比較した。ライブラリーにある株すべてを検索した結果、183株において、二倍体時に生存率が有意に減少することがわかった。それらの欠損遺伝子の機能は、多岐にわたっており、二倍体細胞時に、一倍体時以上に必要とされる細胞機能は、数多いものと考えられる。しかし、それらの中でも、アクチン細胞骨格系に関与するものに加えて、ミトコンドリア機能やミトコンドリア分配に関与する多くの遺伝子が同定されてきた。出芽酵母においてミトコンドリアは、呼吸系における機能を失っても(例えば、ρ0株)生育は可能であり、また、ミトコンドリア機能欠損を伴う変異が必ずしも二倍体時の生存欠損を伴うわけではないことから、二倍体時の生存欠損をおこす一つの要因として、『ミトコンドリアのある特定な機能に関する要求が二倍体時には、強まる』ことが推測される。ミトコンドリアの膜構造の存在は、生育に必須であり、今回同定したミトコンドリア関連遺伝子には、ミトコンドリア分配に関するもの(MDM10,MDM12など)が含まれており、また、アクチンは、ミトコンドリアの形態、分配に必須な役割を果たしている。以上の結果より、生育に必須なミトコンドリア膜構造の機能が二倍体においては、一倍体よりも要求性が高いのではないかという仮説を考えている。細胞内でミトコンリア膜とER膜は、局所的に交叉し、機能的な関連も示唆されているが、その関連の詳細は、不明である。現在、ミトコンリア膜のER膜との関連により生じる細胞機能が、二倍体時に要求の強まる機能の強力な候補と考え、解析を進めている。
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