2003 Fiscal Year Annual Research Report
単為発生昆虫をモデルにした卵減数分裂制御機構の研究
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15657052
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
畠山 正統 独立行政法人農業生物資源研究所, 発生分化研究グループ, 主任研究官 (50281142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 和則 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (60212031)
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Keywords | 減数分裂 / 卵成熟 / mos / 膜翅目昆虫 / 生殖細胞 / MAPKカスケード / カブラハバチ / 細胞分裂抑制因子 |
Research Abstract |
昆虫卵における減数分裂制御に対するMos-MAPKカスケードの関与を検証するために、まず、単為発生昆虫カブラハバチの未成熟卵(卵核胞期)、成熟卵(減数第一分裂中期停止)、発生開始卵において、抗MAPK抗体および抗リン酸化MAPK抗体を用いて、MAPK活性の挙動を調べた。未成熟卵で不活性だったMAPK活性は、成熟卵では恒常的に活性化され、卵付活による発生開始に伴って不活化された。これらのMAPK活性の挙動は、既知の脊椎動物や無脊椎動物の結果と一致し、昆虫の卵減数分裂の制御にも、MAPKカスケードが関与していることが示された。つぎに、無脊椎動物(イトマキヒトデ)でクローン化されているmos相同遺伝子のcDNAを用いてタンパク質を合成し、カブラハバチの発生初期胚に顕微注入してMosの細胞分裂抑制因子としての機能を検証した。ヒトデMos注入胚では発生が阻害され、MAPKも活性化状態に保たれることがわかった。これらの結果から、昆虫(カブラハバチ)卵でも、減数分裂制御に関与するMos-MAPKカスケードが保存されていることが示され、異種のMosタンパク質が細胞分裂抑制因子としての機能することから、同様の働きをもつ分子が存在することが示唆された。 カブラハバチにおけるmos相同遺伝子をクローン化するために、卵巣および卵からcDNAを作成し、既知のMosアミノ酸配列をもとに設定した縮重プライマーを用いたPCRを行ない、候補遺伝子断片を得た。塩基配列を決定したところ、mos相同遺伝子であることが明らかになった。全長cDNAのクローン化、構造解析、および、機能解析に取りかかっている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hatakeyama, M. et al.: "Aiming at elucidation of mechanisms of the MI arrest in insect egg maturation-Approaches using the hymenopteran insect, Athalia rosae-"Zoological Science. 20(12). 1512 (2003)
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[Publications] Yamamoto, D.S.et al.: "Analysis of meiotic metaphase I arrest in the hymenopteran insect, Athalia rosae"Zoological Science. 20(12). 1548 (2003)