2004 Fiscal Year Annual Research Report
胚葉テクトニクス:隣接関係の動態に着目した器官形成の研究
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15657054
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
八田 公平 独立行政法人理化学研究所, ボディプラン研究グループ, 研究員 (40183909)
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Keywords | ケージド蛍光 / オーガナイザー / 形態形成 / ゼブラフィッシュ / Kaede / 正中線組織 / 神経細胞 / 神経ネットワーク |
Research Abstract |
1.嚢胚初期にシュペーマンのオーガナイザーに相当する胚盾と呼ばれる領域は、その後、正中線組織(脊索・フロアプレート・ハイポコード)と孵化酵素細胞に分化する。私たちは、紫外線照射によって蛍光を発するようになるケージド蛍光色素と、緑から赤に蛍光色が変化するヒユサンゴの蛋白質であるKaedeを用いて、これらの発生過程を解析した。さらに、Notchの細胞内ドメインをモザイクに強制発現させると、これらの細胞の発生運命が、脊索からフロアプレート、または、ハイポコードに分化転換すると共に、それらの組織の区画に移動し、細胞選別を起こす現象を観察できた。このことは、細胞の発生運命決定と形態形成運動がリンクしていることを示している。 2.Kaedeを注入した魚をもちいて、初期胚における発生運命地図をより正確に追うことができるようになった。その結果、今まで、単一細胞に色素を注入して細胞系譜を追跡する従来の方法では検出できなかった、細胞集団レベルでの様々な形態形成運動や、器官原基の分布を明らかにした。 3.鳥類胚において、エレクロポレーション法を用いて、CAGGS-Kaedeを発現させた後、光転換をして神経発生を調べることに成功した。また、脊髄と体節由来の筋肉は、共に節の構造を持っており、そのおのおのの節は運動神経などによって、一対一の関係を維持している。しかし、この対応関係が発生のどの時期に起こるかはわかっていなかった。今回、両者の原基を同時にラベルすることにより、その関係は、かなり後期に、形態的に体節が形成される頃にできあがることが初めて明らかになった。また、培養条件下のマウス初期胚でも、光転換できることを示した。
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