2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15657056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 和生 京都大学, 医科学研究科, 科学技術振興助教授 (50293874)
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Keywords | 突然変異 / ゲノム / 進化 / 抗体 / 体細胞突然変異 / クラススイッチ / 蛍光タンパク / 精子 |
Research Abstract |
多様な抗体をつくるため、リンパ球で抗体遺伝子に突然変異を導入するAIDタンパク質は精巣にも発現しており、AIDがゲノムの多様化、ひいては、生物の進化にも関与している可能性が考えられた。AIDを線維芽細胞で発現させると、抗体遺伝子と無関係のGFP遺伝子に高頻度の突然変異が誘導されるので、マウスの精巣でGFP遺伝子に突然変異が誘導されるかどうかを観察できれば、この可能性は検証できると思われた。このGFP遺伝子はあらかじめその内部に変異が導入されており、不完全なタンパクしか発現できない。この変異部分がさらに変異して復帰すると緑色蛍光を発するタンパク質が発現する。この変異GFP遺伝子とその発現量をモニタリングするためにIRES配列を介して赤色蛍光タンパク質(dimer2)遺伝子を発現する突然変異の人工基質を作成した。この人工基質はマウス胚に導入してトランスジェニックマウスを作成するのに用いられるが、人工基質の転写レベルが高いマウス個体を効率よく選別するためにdimer2は役立つことが期待される。この人工基質をマウス受精卵に注入しトランスジェニックマウス個体を得た。精巣においてdimer2を発現するマウス系統を選別し、これとAIDトランスジェニックマウスと交配させて二重トランスジェニックマウスを得た。このマウスの精巣細胞をフローサイトメトリーにより解析したところ、GFP陽性の細胞は認められなかった。このことから線維芽細胞とは異なり、雄性生殖細胞においてはAIDによるGFP遺伝子に突然変異の頻度は高くないと考えられる。この研究の中でdimer2タンパクは精子の尾部に集積することを観察し、精子のマーカーとして有用であることを見い出した。
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Research Products
(3 results)