2003 Fiscal Year Annual Research Report
花粉媒介昆虫にとって魅力的な花器形質の解析に基づく採種効率向上の試み
Project/Area Number |
15658003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大澤 良 筑波大学, 農林学系, 助教授 (80211788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戒能 洋一 筑波大学, 農林学系, 助教授 (20183775)
本田 洋 筑波大学, 農林学系, 助教授 (90126160)
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Keywords | Brassica rapa / Raphanus sativus / 花器構造 / 受粉生物学 / 蜜標 / アブラナ科作物 |
Research Abstract |
本研究は、一代雑種品種の代表であるアブラナ科作物をモデルとして、花粉媒介昆虫にとって魅力的な花器形質とは何かを昆虫の「感覚」に基づいて明らかにし、化学生態学,昆虫行動学、受粉生物学の観点から受粉行動を解析し、新たな育種目標の探索を試みることを目的にしている。本年度は、アブラナ科作物のBrassica rapaとRaphanus sativusについて花器構造の品種間、品種内変異の画像解析による把握とそれらの遺伝解析、ならびに花粉媒介昆虫の訪花行動に大きな影響を与えると考えられている蜜標(ネクターガイド)の品種間変異およびその遺伝解析をBrassica rapaについて試みた。Brassica rapaとRaphanus sativusについては、雌しべの長さ、おしべの長さ、柱頭の大きさ、花弁の大きさ、花弁の形状の遺伝率が比較的高く、選抜可能な形質であることが明らかになった。また、Brassica rapaでは花柱の高さは受粉量と高い正の相関を示し、ひいては結実率に影響を及ぼしていることが明らかになった。Brassica rapaでは紫外線写真を撮ることによって、紫外線領域を吸収する部位(蜜標部位)とそれ以外を明瞭に仕分けることができ、それらの品種間変異を調べた結果、花弁全体に紫外線吸収部が広がる品種から中央部にとどまる品種まで大きな変異が観察された。蜜標部の大小を掛け合わせて得られたF2集団について変異解析したところ、これらの変異は多数の遺伝子がかかわる量的形質の変異を示すことが明らかとなった。 花器構造については、ダイアレル分析による遺伝解析、蜜標についてはF3集団を用いた統計遺伝学的解析を試みる予定である。
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Research Products
(1 results)