2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15658008
|
Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
内野 彰 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 東北農業研究センター・水田利用部, 主任研究官 (20355316)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝池 博幸 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物環境安全部, 主任研究官 (70354058)
|
Keywords | 除草剤抵抗性 / スルホニルウレア系除草剤 / イヌホタルイ / 水田雑草 / アセト乳酸合成酵素 |
Research Abstract |
イヌホタルイについて宮城県の7集団,福岡県の5集団,岩手県の2集団を現地から採取して検定したところ,感受性と抵抗性が混在した集団が各県から1集団ずつ得られた。この集団の感受性個体は抵抗性個体が出現した母集団と考えることができ、出現頻度の異なる集団の遺伝的背景の解析に用いることができる。 これらの集団について、抵抗性変異を誘導するアセト乳酸合成酵素(ALS)遺伝子を解析したところ、抵抗性集団はすべてPro197部位の変異が抵抗性を引き起こしていた。しかし、その変異は必ずしも同じものではなく、SerやLeuなど様々なアミノ酸への置換が認められた。また、中立的遺伝変異の蓄積を調べるため、ALS遺伝子のイントロン部位を比較したところ、835bp中の7箇所に多型が認められた。今後は、こうした多型解析に加えて集団内の遺伝的多様度の解析を進め、各集団の遺伝的背景と抵抗性個体出現頻度の関係を明らかにする。 自然集団における抵抗性遺伝子の頻度を調査するため、スルホニルウレア系除草剤の使用歴のない水田(1a、2筆)のイヌホタルイ集団に対してスルホニルウレア系除草剤を処理し、水田1で2個体,水田2で6個体の抵抗性個体を得た。これらのALS遺伝子を解析したところ,7個体がPro197Ser変異であり,1個体がTrp574Leu変異であった。各変異はヘテロの状態になっており、このイヌホタルイ集団における抵抗性遺伝子の頻度は、Pro197Ser変異遺伝子で3.1×10-5、Trp574Leu変異遺伝子で4.8×10-6と算出された。この値を既報のモデルにあてはめたところ、この集団にSU剤処理を続ければ、どちらの遺伝子も4年後には集団の8割以上が抵抗性個体に置き換わると推定され、かなり早い時期に抵抗性が顕在化すると考えられた。今後はこの自然集団と上記の抵抗性集団との遺伝的差異を明らかにし、集団の遺伝的背景と抵抗性個体出現頻度との関係の解析を試みる。
|