2003 Fiscal Year Annual Research Report
園芸植物に潜む25゜C付近の生育障害の発現とその解明
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15658012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢澤 進 京都大学, 農学研究科, 教授 (90026550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 宗孝 京都大学, 農学研究科, 助手 (40301246)
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Keywords | 縮葉の発生 / トウガラシ / 24-26℃生育反応 / セーシェル諸島 / Capsicum chinense |
Research Abstract |
セーシェル諸島より導入したトウガラシ'Sy-2'(Capsicum chinense)は24℃以下の生育温度(トウガラシの生育適温は普通24〜28℃)では葉がウイルスに罹病した症状(縮葉)が発生し、26℃以上の温度では正常な葉が展開することを確認した。20℃では本葉がほとんど展開することなく子葉が縮葉となった。1日あたりの24℃および26℃の遭遇時間と縮葉発現を調べた結果、12時間以上24℃に遭遇すると100%の個体に縮葉が発現した。24℃で縮葉を発現した個体を26℃に移すと新葉は3日目に縮葉を回復したが、古い葉の縮葉は回復することはなかった。'Sy-2'の縮葉発現には日長および明期、暗期別の温度の影響は認められなかった。切片の顕微鏡観察から縮葉の表皮系の細胞肥大が正常葉に比較して著しく悪いことが認められた。 正常葉と縮葉のSDS-PAGEによるタンパク質の泳動パターンから、縮葉の発現にともない分子量40kDa付近のタンパク質の発現量の低下が認められ、このタンパク質と縮葉の発現との間に関連性が認められた。さらに'Sy-2'の正常葉と縮葉の二次元電気泳動法によるタンパク質の泳動パターンから異なる4種類のタンパク質が縮葉に認められた。これらの点については今後さらに検討する必要がある。 セーシェル諸島の年平均最低気温は34℃で平均最高気温は28℃である。ここで述べたトウガラシ'Sy-2'の25℃を中心とした生育温度依存型縮葉発現反応は、他のセーシェル原産植物、たとえばフタゴヤシなどにも存在する可能性があるものと考えられ、熱帯の海洋型気候地域に原産する温室植物の栽培管理技術の確立の際に考慮される必要がある。
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