2003 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞の分化およびサイトカイン産生のタウリンによる制御
Project/Area Number |
15658041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 誠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30114507)
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Keywords | タウリン / トランスポーター / タウリン合成酵素 / cysteine dioxygenase / 3T3-L1 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
様々な生理機能が知られているタウリンは、トランスポーター(TAUT)による外部からの取込とMetやCysからの生合成の2通りの経路で供給される。タウリン合成酵素の発現は、肝臓、腎臓、脳など一部に限られ、これらの組織ではタウリンは特に重要な機能を果たしていると考えられてきた。近年、脂肪組織においてタウリン合成酵素が高発現していることが報告された。そこで本研究では、脂肪細胞におけるタウリンの吸収・合成に関わる分子の特牲について解析した。 脂肪細胞のモデルとしてマウス由来前駆脂肪細胞株3T3-Llを分化させて用いた。ラベルしたタウリンを用いてタウリン取込量を測定したところ、取込活性はMichaelis-Menten型(km:15.2μM)の曲線を示したことから、取込は高親和性トランスポーターを介していることが明らかとなった。取込はNa及びC1イオンに依存し、β-アミノ酸によって阻害された。以上の結果から、3T3-L1においても他の組織で報告されたものと同様のTAUTが発現していることが示唆された。タウリンの主要な機能に浸透圧調節が知られているが、分化した3T3-L1細胞においても、高浸透圧条件下ではタウリン取込活性や細胞内濃度は増加し、タウリンが浸透圧調節に関与していることが示唆された。TAUTやタウリン合成酵素の一つであるcysteine dioxygenase(CD0)のmRNA発現量は、高浸透圧条件下で顕著に増加し、転写レベルで制御されていた。一方で、3T3-L1細胞のタウリン取込は細胞外タウリン濃度の増加に伴って顕著に低下し、同時にTAUT、CDOのmRNA発現量はともに減少したことから、これらは転写レベルで抑制されていることが示唆された。以上より、分化した3T3-L1細胞においても、高浸透圧・タウリン過剰といった培養条件の変化によって制御されるタウリン取込/合成機構が存在することが示された。
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Research Products
(1 results)