2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15658044
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 範久 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 教授 (20144892)
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Keywords | ビタミンB6 / 抗腫瘍作用 / 大腸腫瘍 / 皮膚腫瘍 / 乳腺腫瘍 / 細胞増殖 / 大腸粘膜剥離 / alkaline phosphatase |
Research Abstract |
1.ビタミンB6摂取による大腸腫瘍の発現抑制の機構解析 大腸腫瘍の発現に対するビタミンB6摂取の抑制作用の機構として、大腸粘膜剥離の抑制が関与しているのではないかと仮説を設けて検討を加えた。その結果、大腸粘膜剥離の指標である糞中の腸由来のalkaline phosphatase活性がビタミンB6摂取の増加に伴い、著しく抑制されることが示され、細胞増殖の変動と一致し、我々の仮説を裏付ける結果となった。この結果から、ビタミンB6の摂取により、大腸粘膜の障害・剥離が抑制され、それに伴い、cell cycleが低下し、細胞増殖、並びに発癌の低下に繋がったのではないかと推論した。 2.ビタミンB6摂取の皮膚腫瘍の発現に対する影響 本研究では、DMBA-UV誘発皮膚腫瘍のモデルマウスに対するビタミンB6摂取の影響について検討を加えた。その結果、意外なことにUV誘発皮膚腫瘍の発現は、ビタミンB6摂取の増加に伴い、用量依存的に増大することが示された。 3.ビタミンB6摂取の乳腺腫瘍の発現に対する影響 これまでに多量のビタミンB6により乳癌の発現が抑制されることが報告されている。本研究では、実際の食生活に近い摂取量の範囲(1-35mg pyridoxine HCl/kg)でのビタミンB6摂取のDMBA誘発乳癌の発現に対する影響を調べた。その結果、この範囲でのビタミンB6摂取の影響は見られなかった。以上の結果から、食餌ビタミンB6は、大腸癌の発現に対しては顕著に抑制効果を示すが、他の臓器・組織の発癌に対しては影響が少ないか、あるいは皮膚のようにむしろ増加することが明らかになった。
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Research Products
(2 results)