2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子マーカーを用いた非破壊的な種子散布モニタリング方法の開発
Project/Area Number |
15658046
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清和 研二 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40261474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陶山 佳久 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60282315)
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Keywords | クリ / マイクロサテライトマーカー / 親子解析 / 実生 / 適応度 / 種子散布 |
Research Abstract |
1.クリを含む落葉広葉樹林(70×40m)に出現したクリ実生199個体のうち172個体について付着した果皮を発見することが出来、DNA抽出したが、品質の悪いものもあり15サンプルについては遺伝子型の判定が出来なかった。遺伝子型の判明した157個体のうち母樹候補木のいずれかと一致したものは約3割の50個体に過ぎなかった。それらは調査区に生育する6母樹由来の実生であると判定された。各母樹の実生数は多いものからそれぞれ23,11,7,4,3,2個体であった。これは各母樹ごとの適応度の直接的な推定を行なった画期的なものだと言える。しかし、個々の母樹ごとに特定できた実生数が極めて少ないのが実態であり、その後の死亡率の高さから多回繁殖型の樹木の適応度を推定するにはもっと大きなサンプルサイズと複数年の調査が必要だと考えられた。また、個々の母樹それぞれの子個体数が少ないため、実生の生存に及ぼす遺伝的要因と環境要因の影響をそれぞれ抽出することは今回は不可能であった。 2.これまでの種子散布追跡手法との比較:別途にこれまで良く用いられてきた種子散布追跡試験を行ない,本手法との比較を行なった。クリの母樹ごとに種子を採取し磁石を埋め込み後、金属探知期で散布から実生出現までの過程を追跡した。金属探知期での追跡は種子の数次にわたる貯食・散布・捕食の過程を逐次明らかにし、散布者の行動様式や活動場所を解析するには適していることが明らかになった。しかし、最終的にはほぼ全て捕食されてしまうので、最終的にどの親の子個体がどこでどれだけ発芽してくるのかを明らかにすることは出来なかった。これらの結果からもDNAを用いた本手法は今後の種子散布研究に重要になってくるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)