2004 Fiscal Year Annual Research Report
海鳥類の排泄物が海洋表層の低次生産過程に及ぼす影響
Project/Area Number |
15658056
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
門谷 茂 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (30136288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 勲 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (00195455)
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Keywords | 海鳥 / 排泄物 / 栄養塩 / 基礎生産 |
Research Abstract |
北海道大学水産学部所属の練習船うしお丸等を使用して、日本海の北海道北部に位置する世界最大の海鳥(ウトウ)繁殖地である天売島付近の海域において、2004年5月および7月に停泊観測を実施した。観測定点では、時系列セヂメントトラップを使用して海鳥の糞由来の沈降粒子を捕捉するとともに、計器および採水観測を実施した。その結果、観測船近傍に海鳥群集が蝟集していた時間帯に、懸濁態有機物や栄養塩濃度が上昇する傾向が認められた。 同海域では、対馬暖流の影響下にあるため周年に渡って、栄養塩濃度が低く植物プランクトン量も少ないことが知られているが、海鳥群集が蝟集する海域では、その糞塊由来の栄養塩によって局部的な植物プランクトンの増殖が期待できることが明らかとなった。 海鳥が排糞した直後の糞塊の動態を実際に目視観測するために、各種の海鳥が実際に海域において摂餌していると考えられる魚種を選び、その魚種を餌として与え、飼育水槽内において新鮮な糞塊の採取とその化学組成の定量を実施するとともに、水槽内における糞塊の沈降・拡散過程を観測モニターする事を試みた。さらに、水槽内の時系列の採水試料を得て、栄養塩類の溶出過程を調べた。栄養塩の溶出・拡散は糞塊の形状が大きく関与していることを認めた。また、この海水を使用して植物プランクトンの増殖ポテンシャルを測定したところ、天塩海域から採取した対照海水に比べて有意に大きな増殖があることが分かった。
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