Research Abstract |
本研究は,秋田県の気候風土を積極的に活用し,省エネルギー・低コストで採算性の高い実用的植物工場の開発を目指すものである。栽培対象植物には生薬植物のオウレン(Coptis japonica)を選び,そのクローン苗供給法の確立と人工環境下での栽培技術の確立を目的としている。平成15年度の研究成果より,カルス化に適した部位とホルモン濃度が明らかとなったので,平成16年度には再分化に適した培地条件と,得られた小植物体の順化に適した条件について検討した。 オウレンのカルスを分割し,2,4-Dとカイネチンの濃度を各々5段階に変化させた培地に植え替えたところ,2,4-Dが10^<-5>Mもしくは10^<-6>Mの条件下で,植え替え後4週間ほどで不定根の発生が,8週間後に不定芽と不定胚の発生が認められた。いずれの条件においても,小植物体は発生せず,今回試験した範囲では,一度の再分化処理で小植物体は得られないものと思われた。そこで,得られた不定芽を様々なホルモン濃度の培地に植え替えたところ,2,4-D,カイネチンともに10^<-7>Mの濃度の培地において,約12週間後に完全な小植物体を得ることができた。以上により,発芽,発根に各々別の処理を行うことで,小植物体が得られることが明らかとなった。 次に,順化に適した条件を明らかにするため,得られた小植物体をバーミキュライト,もしくは腐葉土を培土とした容器に植え替え,容器の蓋に穴を開けた場合と,蓋を使わず,ガーゼで覆った場合の二種類について順化実験を行った。実験は,気温と光強度が異なる3種類の環境下で行った。その結果,実験開始後4週間目において,いずれの処理区においても枯死した個体はなく,生育も良好であった。また,バーミキュライト区では地下部の生育が,腐葉土では地上部の生育が良くなる傾向が認められた。
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