2003 Fiscal Year Annual Research Report
物質循環型牧場における肉牛飼育管理法確立のためのウイルスの分子疫学
Project/Area Number |
15658078
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
太田 達郎 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (50050513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 孝夫 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (20229917)
大堀 均 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (40004741)
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Keywords | コロナウイルス / 分子疫学 / 物質循環 / 管理 / 肉牛 |
Research Abstract |
物質循環型畜産を基本とする肉牛生産システムは環境保全、安全な食品を提供できる点において、その構築が急がれている状況にある。一方、衛生学的な観点から病原体が蔓延した場合、経済的リスクは極めて大きい。本研究は、物質循環型牧場において衛生学的観点から基本的な情報を得ることによって物質循環型牧場のシステム構築のための提言を行うことを目的としている。この目的のため、本研究では、子牛下痢症、成牛における冬季下痢症の主要病原因子であるウシコロナウイルス(BCV)を指標としてとりあげ、ウイルスの動態、性状解析などを解析することとした。我々はこれまで、物質循環型牧場で飼育されていた肉牛において、たとえ中和抗体陽性であっても年間を通じて宿主体内よりBCVの高率な検出を確認しておりin vivo BCV持続感染の成立を示唆してきた。そこで本年度はまず、持続感染成立因子の解明を目的とし、同牧場よりBCV分離を試み、そのウイルス性状を解析した。その結果、同一宿主の糞便および鼻腔よりウイルスが分離され、異なる器官へのBCV感染を確認した。また、同一宿主より年間を通じたBCV分離できたことから、in vivo BCV持続感染の成立が強く示唆された。さらに、日本固有株であるKakegawa株と牧場分離株について、現段階でtropism決定因子への関与が考えられているHE糖タンパク質の遺伝子解析を行い、既知の数種のBCV株とアミノ酸配列を比較検討した結果、今回得られた牧場分離株の配列はKakegawa株と完全に一致しており、種特異的なアミノ酸変異が一切認められなかったことを明らかにした。
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