2004 Fiscal Year Annual Research Report
雌ウシの潜在能力を利用したホルモン処置を使わないダブル排卵モデルの確立
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15658079
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
宮本 明夫 国立大学法人帯広畜産大学, 大学院・畜産衛生学専攻, 教授 (10192767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 基純 国立大学法人帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (20374762)
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Keywords | 卵胞発育 / 卵胞閉鎖 / 血管新生 / 黄体 / 血流 / アンギオポエチン / ダブル排卵 / ウシ |
Research Abstract |
今年度は、乳牛の発情周期中の卵胞の発育と閉鎖に関わる血管新生と血流を制御する因子の解析を進めると同時に、第1卵胞波の時期に限定して、黄体が存在しない状況下でのダブル優性卵胞の発現とダブル排卵の起きる内分泌環境の詳細な解析を行った。 1)血管構築に関わると考えられるアンギオポエチン(ANPT)とそのレセプターTie2の発現を各発育段階にある卵胞から得られた顆粒膜細胞で調べた結果、ANPT1は中卵胞以上の卵胞で急速に増加し、一方、ANPT2は急速に減少した。レセプターTie2の発現は変化しなかった。このことから、血管新生が激増する中卵胞以上で、むしろ血管を安定化させるといわれるANPT1が主なリガンドとなることから、顆粒膜細胞のANPT1は、血管新生ではなく、むしろエストロジェン合成と深く関わっている可能性が示唆された。 2)ウシ卵胞液中のN型糖鎖の変換の第一段階を触媒するNアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnT I.)活性を検索した結果、閉鎖卵胞液にその活性が高いことがわかり、卵胞の閉鎖過程とN型糖鎖の変換活性との関連が示唆された。 3)乳牛の第1卵胞波の直径2mm以上の全ての卵胞の消長を、カラードップラー超音波診断装置を用いて、それらの基底膜の局所血流とともに詳細に調べた結果、閉鎖に向かう卵胞は、どのサイズにおいても血流がDay3を境に消失するのに対して、発育を続ける卵胞の血流は存続することを初めて実証した。 4)LHサージの直前に優性卵胞を吸引除去(ダブル優性卵胞モデル)または、GnRH投与による誘起排卵(シングル優性卵胞モデル)直後から5日目まで、毎日8時間、15分間隔の連続採血を行い、LHとFSHのパルス状分泌を観察した。その結果、黄体が存在しない(プロジェステロン濃度が基底値)ダブル優性卵胞モデルでは、LHパルスが活発で、FSH濃度も若干高いことがわかった。
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Research Products
(3 results)