2004 Fiscal Year Annual Research Report
馬のアレルギー性疾患におけるアレルゲン解析と減感作療法の臨床応用
Project/Area Number |
15658097
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60163804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 耕一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90294660)
阪口 雅弘 独立行政法人理化学研究所, 横浜研究所・免疫アレルギー科学総合センター・遺伝子研究チーム, チームリーダー (20170590)
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Keywords | 馬 / アレルギー / 夏癬 / 昆虫 / 皮内反応 / IgE / I型過敏症 / IgE受容体 |
Research Abstract |
日本の中心的な馬産地である北海道においては、夏季に皮膚の炎症と痒みを発症するいわゆる「夏癬」が多発している。本疾患に関してはその症状と季節性からアレルギー性疾患であることが示唆されているが、本疾患に関与するアレルゲンに関してはほとんど不明のままである。そこで本研究においては、皮内反応および血清中抗原特異的IgE測定によって「夏癬」に関与するアレルゲンの同定を行った。 夏季にたてがみから亀甲部の皮膚および尾根部皮膚に丘疹、鱗屑、痒感が認められ、臨床的に夏癬と診断した29頭の馬において、草木の花粉、昆虫、食物、ハウスダストマイト、および真菌の各アレルゲングループに属する72種類の候補アレルゲンを用いて皮内反応を行った。初年度の検査においては昆虫およびハウスダストマイトの混合抗原に対して陽性反応が認められた。第2年度において個別の抗原を用いて皮内反応を行ったところ、サシバエ、アブ、ヌカカ、アリといった昆虫抗原に対する陽性反応が高頻度に認められることが示された。次に馬の血清中抗原特異的IgEの測定系を確立するため、馬の高親和性IgE受容体のcDNAクローニングおよび組み換え蛋白の作成を行った。サシバエ抗原と血清を反応させ、馬の高親和性IgE受容体蛋白を用いたサンドイッチELISAを行ったところ、サシバエ抗原による皮内反応陽性を示した馬においてサシバエ特異的なIgEを検出することが可能となった。 本研究より、日本における馬の「夏癬」においては、夏季に環境中に増える昆虫に対するI型過敏症が存在することが明らかとなった。本研究で確立したアレルゲン検査は今後の馬における「夏癬」の診断・治療においてきわめて有用であるものと考えられる。
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Research Products
(6 results)