2003 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄移植の新戦略をめざした造血幹細胞とストローマ細胞間の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
15658098
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
稲葉 俊夫 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00137241)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 大二郎 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (70316016)
杉浦 喜久弥 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (30171143)
|
Keywords | 造血幹細胞 / ストローマ細胞 / 主要組織適合抗原(MHC) / シグナル伝達 / チロシンリン酸化 / SDS-PAGE |
Research Abstract |
1.幹細胞コロニー形成における主要組織適合抗原(MHC)拘束性の研究 造血幹細胞をストローマ細胞の単層培養に加えて共培養すると、造血幹細胞は、ストローマ細胞の下に潜り込みコロニー(cobblestone colony)を形成するが、幹細胞とストローマ細胞のMHCが異なった場合では、同じである場合にくらべて、コロニーの形成率が低下した。幹細胞とストローマ細胞のMHCが異なった場合でもストローマ細胞のMHCに対する抗体を培養に添加すると、コロニー-の形成率が高まった。 幹細胞とストローマ細胞のMHCが異なった場合では、同じである場合にくらべて、ストローマ細胞におけるサイトカインの発現が低下した。幹細胞とストローマ細胞のMHCが異なった場合でもストローマ細胞のMHCに対する抗体を培養に添加すると、ストローマ細胞におけるサイトカインの発現が高まった。しかし、幹細胞の存在なしにストローマ細胞のMHCに対する抗体を培養に添加してもストローマ細胞におけるサイトカインの発現は、少なかった。 2.造血幹細胞とストローマ細胞のMHC拘束性に関与するシグナルの研究 上記の結果より、ストローマ細胞が造血支持能を示すのは、ストローマ細胞と幹細胞の接着(=接着分子からの刺激シグナル)が必須であり、ストローマ細胞のMHCから接着分子からの刺激シグナルを増強するシグナルが発生することが考えられた。このことを証明するため、胎児骨由来のストローマおよびストローマ細胞株(PA6,MS5)を抗MHC(H-2)抗体で刺激し、ウェスタンブロッティングにおいてチロシンリン酸化を検索し、以下の結果を得られた。1)55KD(および28KD)付近にリン酸化チロシンと思われる反応を検出した。2)上記リン酸化チロシンと思われる反応は、抗H-2抗体刺激後1、(3)、10、(30)、と時間を経過しても強度が変化しなかった。3)上記リン酸化チロシンと思われる反応は、チロシンキナーゼの阻害剤であるGenisteinおよびHerbimycineによって阻害されなかった。4)上記リン酸化チロシンと思われる反応は、2次抗体のみでメンブランを処理しても検出された。これらの結果から、上記リン酸化チロシンと思われた反応は、抗MHC(H-2)抗体自身であると思われた。 また、胎児骨由来のストローマおよびストローマ細胞株(PA6,MS5)を抗MHC(H-2)抗体と抗接着分子(VCAM1、CD44、CD29)抗体で共刺激し、ウェスタンブロッティングにおいてチロシンリン酸化を検索した。抗VCAM1抗体の刺激により、と坑MHC(H-2)抗体の刺激によって得られた55KD(および28KD)付近の反応の他に約47-53KDの位置に反応が見られ、その反応は、抗VCAM1抗体と抗MHC(H-2)抗体の共刺激によって増強された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Hirosh Iwai et al.: "Correlation between accelerated presbycusis and decreased immune functions."Experimental Gerontology. 38・3. 319-325 (2003)
-
[Publications] Tomoo Yoshimura et al.: "Analyses of dendritic cell subsets in pregnancy."American Journal of Reproduction Immunology. 50・2. 137-145 (2003)
-
[Publications] Shingo Hatoya et al.: "Expression of estrogen receptor alpha and beta genes in the mediobasal hypothalamus, pituitary and ovary during the canine estrous cycle."Neuroscience Letters. 347・2. 131-135 (2003)