2003 Fiscal Year Annual Research Report
体外培養組織情報を利用したウシ子宮の新規生殖機能評価法の開発
Project/Area Number |
15658099
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
伊賀 浩輔 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 東北農業研究センター・畜産草地部, 主任研究官 (00343963)
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Keywords | ウシ / バイオプシー / 子宮内膜 / プロジェステロン / プロスタグランジン |
Research Abstract |
本研究は、ウシ子宮内膜組織のバイオプシーを利用した子宮の直接的な繁殖生理機能評価の確立を目的としている。初年度は、子宮内膜組織の採取頻度が発情周期におよぼす影響を調べると共に、採取組織の培養条件について検討した。試験牛として、4-10歳齢の日本短角種を延べ8頭用い、1回採取(発情後10日)、1、2および3日間隔の3回採取(発情後8-16日)に区分し組織を採取した。実験期間を通じて連日、直腸検査による卵巣変化を追跡し、合わせて頚部静脈から採血を行った。実験1:発情行動、卵巣所見および血中プロジェステロン(以下、P)濃度の推移を調べ、子宮内膜組織の採取が発情周期の長さにおよぼす影響を調べた。また、採取後の発情時に種雄牛と自然交配させ受胎性におよぼす影響を調べた。その結果、1日間隔の3回採取においては、3回の採取後2日目に血中P濃度は低下し、発情周期の短縮を示す傾向が認められたが、主席卵胞の消長に影響は認められなかった。また、採取後の発情時に自然交配させた結果、正常に受胎することを確認した。実験2:採取組織は標本を作製し組織形態を調べた。また、一部の組織は細切・培養し、培養皿への細胞の伸展を指標として、採取組織の生存性について調べると共に、組織量10mg当たり100-300μ1の培養液で6時間培養した後、上清のプロスタグランジンF2α(以下、PG)濃度を調べた。その結果、採取組織の上皮および粘膜固有層の機能層において、採取による損傷は認められなかった。採取組織は培養後3-5日で培養皿への細胞の接着・伸展が観察された。また、いずれの培養液量においてもPG濃度の測定が可能であった。以上の結果から、ウシ子宮内膜組織の採取条件により、その後の発情周期が短縮する傾向が認められるが、受胎性には影響をおよぼさないこと、採取組織の損傷が少なく細胞の生存性も保持されていることが示された。
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