2003 Fiscal Year Annual Research Report
無臭チオール・スルフィドの開発とその有機反応への応用
Project/Area Number |
15659005
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西出 喜代治 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (10237711)
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Keywords | 無臭チオール / 1-ドデカンチオール / 脱アルキル化反応 / TMSBM / TMSBT / 無臭スルフィド / グリーンケミストリー |
Research Abstract |
1)無臭1-ドデカンチオールの開発 脂肪族直鎖1-チオールを入手或いは合成しそれらの臭いを系統的に初めて比較した(6段階臭気強度表示法)結果、汎用されているエタンチオール(EtSH、炭素数2)は悪臭を有しているが、1-ドデカンチオール(Dod-SH、炭素数12)が無臭であることを見出した。これを我々が以前開発したAlX_3-EtSHによるエーテル、エステル類などの脱アルキル化反応において、Dod-SHをEtSHの無臭代替品として応用した。AlX_3-Dod-SHによる反応は従来の反応と同等に高収率で進行することが分かった。この無臭新反応剤は、従来の悪臭を有していた反応剤に比べて大変使いやすく、実験者の作業環境を大きく改善することに貢献した。また無臭ベンジルメルカプタン(P-Heptylphenylmethanethiol)の開発にも成功した。 2)トリメチルシリル基の無臭化効果の発見(TMSBM、TMSBTの開発) ベンジルメルカプタンとベンゼンチオールの新しい無臭代替品として、4-トリメチルシリルフェニルメタンチオール(TMSBM)と4-トリメチルシリルベンゼンチオール(TMSBT)を開発した。ベンゼン環上にトリメチルシリル基を導入することによる無臭化効果は顕著であることを見出した。これらの無臭チオール類の開発は、基質に付加或いは置換反応によって導入後トリフルオロ酢酸で処理(protodesilylation)することにより、フェニルメチルチオ基或いはフェニルチオ基を悪臭のしない反応条件で基質に導入することを可能にした。 3)本年度の研究計画に先行する研究成果として、悪臭のジメチルスルフィドの無臭代替品ドデシルメチルスルフィド(Dod-S-Me)、メチル6-モルホリノヘキシルスルフィド(MMS)等を開発することができた。詳細については次年度報告する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Manabu Node, Kiyoharu Nishide, et al.: "Odorless Substitutes for Foul-smelling Thiols : Syntheses and Applications"Tetrahedron Lett.. 42・52. 9207-9210 (2001)
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[Publications] Kiyoharu Nishide et al.: "Synthetic Equivalents of Benzenethiol and Benzyl Mercaptan Having Faint Smell : Odor Reducing Effect of Trialkylsilyl Group"Tetrahedron Lett.. 43・47. 8569-8573 (2002)
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[Publications] Kiyoharu Nishide et al.: "New Odorless Protocols for the Swern and Corey-Kim Oxidations"Tetrahedron Lett.. 43・29. 5177-5179 (2002)
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[Publications] Kiyoharu Nishide, Manabu Node et al.: "New Odorless Method for the Corey-Kim and Swern Oxidations utilizing Dodecyl Methyl Sulfide (Dod-S-Me)"Tetrahedron. 59・42. 8393-8398 (2003)
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[Publications] Kiyoharu Nishide et al.: "Development of Odorless Thiols and Sulfides and Their Applications to Organic Synthesis"Monatshefte fur Chemie (Chemical Monthly). 135・2. 189-200 (2004)
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[Publications] Kiyoharu Nishide et al.: "A Practical Improvement of Odorless Corey-Kim and Swern Oxidations"Green Chem.. 6・3. 142-146 (2004)