2004 Fiscal Year Annual Research Report
無臭チオール・スルフィドの開発とその有機反応への応用
Project/Area Number |
15659005
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
西出 喜代治 広島国際大学, 薬学部, 教授 (10237711)
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Keywords | 無臭硫黄反応剤 / ドデシルメチルスルフィド(Dod-S-Me) / ドデシルメチルスルホキシド(Dod-S(O)-Me) / メチルモルホリノヘキシルスルフィド(MMS) / メチルモルホリノヘキシルスルホキシド(MMSO) / 無臭Corey-Kim酸化 / 無臭Swern酸化 / グリーンケミストリー |
Research Abstract |
前年度の研究において見出した無臭チオール(1-dodecanethiol)にヒントを得て、各種アルキルメチルスルフィドを合成し、その臭気強度を調べた結果、ドデシルメチルスルフィド(Dod-S-Me)が無臭であることを見出した。これを悪臭のあるジメチルスルフィド(DMS)の無臭代替品として使用し、無臭Corey-Kim酸化法を開発した。また、フェノールのメチルエーテル、メチルエステルの脱メチル化反応およびオゾン分解反応の還元的後処理法に適用した。次に、Dod-S-Meに対応するスルホキシド(Dod-S(O)-Me)を合成し、無臭Swern酸化法を開発した。いずれに於いても、従来法が有する欠点(悪臭)を克服した環境調和型の新しい方法を提供することができた。 上記の無臭硫黄反応剤Dod-S-Me、Dod-S(O)-Meは長鎖アルキル基を持っている為、比較的沸点が高く、反応処理後の生成物の精製にクロマトグラフィーが必要であった。これは実験室レベルの反応には適しているが大量スケールの工業的反応には不向きであった。この欠点を克服するためにモルホリンを導入した新無臭硫黄反応剤(メチルモルホリノヘキシルスルフィド(MMS)及びメチルモルホリノヘキシルスルホキシド(MMSO)を設計した。これらを活用して第二世代の無臭Corey-Kim and Swern酸化法を開発した。この新方法では生成物が分液操作のみで高収率で得られ同時に反応剤のMMSも高収率で回収でき且つ再利用ができる。 上記第二世代の無臭Corey-Kim and Swern酸化法はグリーンケミストリーの視点がらも優れた方法であるので英国化学会誌Green Chem.に投稿したところ表紙に掲載され、hot paperにも選ばれた。また、Chem.Eng.Newsと化学と工業にも紹介され、国内外から高い評価を得ている。
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Research Products
(5 results)