2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15659006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 巌 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (30226493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 晶世 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (70361110)
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Keywords | ナノ集合体 / 超分子 / シクロデキストリン / pH感応性 / 温度感応性 / フェロセン / ピレン / 炭酸イオン |
Research Abstract |
本年度はpHや温度といった外部刺激に対して応答可能なナノ集合体を作製するという研究計画に従い,線状超分子集合体の材料となるシクロデキストリン(CD)誘導体の合成を行った.合成計画としてCDとの自己包接を避けるために,剛直なベンゼン環をゲストとなるフェロセン残基に導入することとし,種々検討した結果,アミノ安息香酸とフェロセンカルボン酸とを縮合させた修飾残基をβ-CDに導入した化合物を合成した.この分子は水には溶解せず,CD誘導体の良好な溶媒となるDMSOに対する溶解性も著しく低く,安定な超分子集合体を形成していることが示唆された。しかし,この溶解性の低さのため,物理化学的な評価が困難であり,現在溶解性の向上を図った新規CD誘導体を合成している.同様に,剛直なスペーサーを介してメチルレッドを結合させたCD誘導体も合成し,現在その機能評価を行っている段階である.デンドリマー型の集合体の素材としてはアスパラギン酸の2つのカルボキシル基にメチルレッドを導入した修飾残基をβ-CDに結合させた分子の合成にも成功した.この分子の集合体形成挙動については,レイリー散乱の強度変化を利用した解析を行っている段階である.ビス(3-アミノプロピル)アミンにピレン残基を縮合させた修飾残基はγ-CDに導入し,その機能解析を行ったところ,このものは集合体の中では最も単純な会合二量体を形成し,pHによってその会合挙動を制御できること,および会合体は炭酸イオンに選択的に応答する蛍光プローブとしての機能があることを見いだした.炭酸イオン存在下で観察される蛍光発光はピレン誘導体においてこれまでに報告されていない特異な蛍光であり,その発光機構の解明が今後の研究計画の鍵の一つとなると思われるため,現在その機構解明も併せて行っている.
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