2003 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドβ蛋白の産生を制御する因子の同定とその解析
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15659023
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
駒野 宏人 国立長寿医療センター, アルツハイマー病研究部, 室長 (40170378)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / プレセニリン / ユビキチン / 小胞体ストレス / セクレターゼ |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)研究では、アミロイドβ蛋白(Aβ)の脳内蓄積機構の解明が重要な課題となっている。Aβは、アミロイド前駆体蛋白が、βセクレターゼとγセクレターゼによって切断を受けて産生されるが、その制御機構の詳細は不明である。本研究は、Aβ産生調節機構を明かにすることを目的に、我々が独自に開発したAβ産生促進因子スクリーニング法(Komano et al., J.Biol.Chem.277:39627,2002)を駆使し、これら因子を同定し解析することである。本年度は、(1)この方法により同定したHerpの解析、および、(2)γセクレターゼ活性を担うことが明かにされた家族性AD原因遺伝子産物プレセニリン(PS)を含む複合体の構成因子のAβ産生における役割について解析を行い、以下の成果を得た。 (1)Herpは、小胞体ストレスによって誘導される機能不明な膜蛋白で、PSと結合しγセクレターゼ活性をあげAβ産生を促進することをすでに明かにしている(Sai et al., J Biol Chem 277:1219,2002)。この蛋白は、N末端側にユビキチン様ドメインという特徴的構造を持っているがその機能は不明であった。本年度は、このユビキチン様ドメインのAβ産生における役割を解析した。その結果、このドメインはHerpの分解に関与し、間接的にHerpの細胞内レベルを制御し、Aβ産生促進活性の制御に寄与することを見出した(Sai et al., FEBS Lett.553:151,2003)。 (2)PS複合体構成因子として同定されたAPH-1、ニカストリン、PEN-2について解析した結果、PEN-2が、Aβ産生に促進的に作用し、PSに結合するPEN-2とAPH-1の量比により、Aβ産生が制御されることを見出した(Shiraishi et al.,投稿中)。 現在、新たに同定したAβ産生促進因子についても解析をすすめており、次年度は、これら複数因子によるAβ産生制御の共通の分子基盤を詳細に解析していくことを計画している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sai X., Kokame K., Shiraishi H., Kawamura Y., Miyata T., Yanagisawa K., Komano H.: "The ubiquitin-like domain of Herp is involved in Herp degradation, but not necessary for its enhancement of amyloid β-protein generation"FEBS Letter. 553. 151-156 (2003)
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[Publications] Araki, Y., Miyagi, N., Kato, N., Yoshida, T., Wada, S., Nishimura, M., Komano, H., Yamamoto, T., De Strooper, B., Yamamoto, K., Suzuki, T.: "Coordinated metabolism of Alcadein and amyloid β-protein precursor regulates FE65-dependent gene transactivation"J.Biol.Chem.. (印刷中).
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[Publications] 駒野宏人, 柳澤勝彦: "アミロイド前駆体蛋白の分子生物学"日本臨床. 5 (2003)