2003 Fiscal Year Annual Research Report
5-オキソ-6-ケトコレステロールの役割と機能:ダイオキシン活性阻害物質
Project/Area Number |
15659031
|
Research Institution | Research Foundation Itsuu Laboratory |
Principal Investigator |
首藤 紘一 (財)乙卯研究所, 所長 (50012612)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 愛 (財)乙卯研究所, 研究員 (00353491)
宇都宮 岩生 (財)乙卯研究所, 主任研究員 (60132784)
|
Keywords | 6-ケトコレステロール / フォルボールエステル / テトラクロロジベンゾダイオキシン |
Research Abstract |
5-オキシ-6-ケトコレステロールは、強い発癌促進化合物であるフォルボールエステルとまったく構造の異なる化合物であるが、生体内にはこの両者ともが強く結合する蛋白(CNTPBP)が存在する。一方、テトラクロロジベンゾダイオキシンとフォルボールエステルには類似の生物作用が見られる。本計画の目的は多くのケトコレステロールを合成して、それらの上記蛋白CNTPBPへの結合性を測定し、その活性とArHR応答配列を持つ転写レポーター系に対する効果との相関を見ることにある。この課題年度においては多数のコレステロール誘導体を化学合成した。 その結果、ステロイド骨格20位の配位が反転するとCNTPBPへの結合が大幅に低下することがわかった。このことはCNTPBPが立体特異的に低分子化合物と結合し、ステロイド側鎖が単に疎水性残基として存在するのではないことを示す。 現時点で測定できる活性として、細胞分化に感度がよく、またフォルボールエステルによっても分化する前骨髄球性白血病細胞株HL60に対する効果を測定した。予想どおり、これらケトコレステロール自体ではHL60細胞に対してまったく活性を示さなかった。しかし、活性の低いテレオシジン誘導体の活性上昇傾向が見られ、フォルボールとの関連が改めて示唆された。 合成した化合物の一部をフランスINSERM Savourete教授に送付しSHPが関与する系での検定を進めつつある。 また、レチノイン酸関連のオーファンレセプターであるRORが、意外にもコレステロールと結合することが判明したので、ROR活性化を検定するために、ヒトRORを調製し、転写のレポーター検定系を準備した。まもなく検定が開始できる状況にある。また、ケトコレステロール過剰食餌を与えたマウスでの毒性試験の結果、有意差のある毒性所見は肝重量がやや高値である以外は特記すべき毒性はみられなかった。
|