2003 Fiscal Year Annual Research Report
高分子バイオコンジュゲート化アデノウイルスベクターの粒子設計とその評価
Project/Area Number |
15659038
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (70207728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 康央 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (50263306)
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Keywords | 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / PEG / バイオコンジュゲーション |
Research Abstract |
本研究では、合成高分子としてPolyethylene Glycol(PEG)を用いて最適な遺伝子治療を達成するための高分子バイオコンジュゲート化アデノウイルスベクター(Ad)の創製を行う。本年度は、AdのPEG修飾法を確立するために、まずPEG修飾条件とPEG修飾Adの物性との関係について検討した。1粒子のAdの外殻タンパク質に存在するリジン残基に対して、25〜6400倍モル量のアミノ基指向性の活性化PEG(MW5,000)を添加することでPEG修飾Adを作製し、その修飾効率をSDS-PEGEにて解析した。PEG修飾Adでは未修飾ヘキソンのバンドが、添加する活性化PEG量の増加に依存して消失すると共に、新たに高分子側にシフトしたバンドが検出された。また、高分子側にシフトしたバンドがPEGに対する染色により染色されたことから、このバンドがPEGにより修飾されたヘキソンであることが確認された。さらに、添加する活性化PEG量の増加に伴ってPEG修飾ヘキソンのバンドが濃くなったことから、添加する活性化PEG量によってヘキソンノ修飾量を調節可能であることが示された。また、PEG修飾Adの粒子径もヘキソン修飾率と同様に添加する活性化PEG量の増加に伴い増大した。さらに、これらPEG修飾AdをCsC1の密度勾配遠心法を用いて精製する条件を確立した。このPEG修飾Adの遺伝子発現効率は、PEG修飾率の増大にともなって低下した。このことから、AdをPEG修飾することで、Adのレセプター(CAR)を介した目的としない細胞への遺伝子導入を阻害することが可能であることが示された。現在、標的指向性分子を先端に付与したPEGによるAdのハイブリッド化を行っている。
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