2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15659042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 恒敏 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90004746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 舞 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90332501)
曽我 浩之 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20282121)
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Keywords | 小腸絨毛粘膜上皮 / TUNEL法 / DNA断片化 / 抗CD3抗体 / 腸上皮内リンパ球(IEL) / TNF / パーフォリン |
Research Abstract |
我々は腸上皮内リンパ球(IEL)の機能を調べる目的で、抗CD3抗体を投与すると、小腸絨毛の基部から先端までの上皮にDNA断片化を伴うアポトーシスが誘導されることを見いだした。DNA断片化を起こした腸上皮は、抗CD3抗体投与後約4時間で管腔に剥離し、絨毛は短くなるが、絨毛全長にわたってアポトーシスが誘導されたにもかかわらず、約半分は剥離せずに残る。剥離せずに残った小腸絨毛上皮細胞は、TUNEL陰性となる。 本研究では、生体内に抗CD3抗体投与で引き起こされる小腸絨毛上皮細胞のDNA断片化が、修復、あるいは再結合が起こるのかどうか、を見極めることが目的である。 本年度の成果:1.小腸での現象をさらに詳細に解析した。 (1)抗CD3抗体投与により引き起こされる小腸絨毛上皮細胞のDNA断片化にはTNFは関与せず、パーフォリンが関与する。 (2)TNFは小腸絨毛上皮細胞の剥離に関与する。 2.小腸での断片化後のDNAは確かに修復されるという確証を得た。 (1)ブロモデオキシウリジンを投与すると、残存したと考えられる絨毛上皮細胞は、絨毛の陰窩から急速に再生したものではないことがわかる。 (2)抗CD3抗体投与しても小腸絨毛上皮細胞が剥離しないことがわかっているTNFレセプターIノックアウト(KO)マウスに抗CD3抗体を投与すると、約30分後に小腸絨毛全長にわたる上皮細胞にDNA断片化が誘導される。このKOマウスでは、投与後4時間経っても腸上皮の剥離が起こらず、絨毛の長さにも変化がなく、この時点で、腸上皮はすべてTUNEL陰性(DNA断片化なし=DNA断片化の修復)となった。 来年度は、この修復・再結合過程に働く酵素系などの解析を進めて、断片化されたDNAの修復機構を明らかにしたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tamura, A., Soga, H., Yaguchi, K., Yamagishi, M., Toyota, T., Sato, J., Oka, Y., Itoh, T.: "Distribution of two types of lymphocytes (intraepithelial and lamina-propria-associated) in the murine small intestine."Cell Tissue Res.. 313. 47-53 (2003)
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[Publications] Yaguchi, K., Kayaba, S., Soga, H., Yamagishi, M., Tamura, A., Kasahara, S., Itoh, T.: "DNA fragmentation and detachment of enterocytes induced by anti-CD3 mAb-activated intraepithelial lymphocytes."Cell Tissue Res.. 315. 71-84 (2004)