2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレス適応・協関に関わる神経機構-“セントラルコマンド・機能モジュール"検証
Project/Area Number |
15659058
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
河南 洋 宮崎大学, 医学部, 教授 (00049058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國武 孝人 宮崎大学, 医学部, 助手 (20234461)
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Keywords | ストレス / 自由行動・意識下ラット / 視床下部室傍核 / バゾプレッシン / 血圧変動 / 体液バランス / 不安 |
Research Abstract |
本研究は自律神経・神経内分泌・調節行動の高次統合部位の1つと考えられている視床下部室傍核(PVN)ニューロンについて、自由行動・意識下ラットを用いて単一神経活動を記録し、種々のストレッサーに対する応答様式から、上記仮説の妥当性について検証を試みた。 このためにはまずハード面として安定し、S/N比の大きい単一ユニット活動記録の方法について検討を加えた。電極インピーダンスの重要性が明らかとなり、そのインピーダンスを高めるため、既存のテフロンコーチングの銀線に再度テフロン絶縁を行った。その手法はまず100度で10分間焼き付け、これを10回繰り返し、その後180度、30分間焼き付けた。これらの操作を自動的に行えるようロボットを活用した自動電極絶縁装置を試作した。さらに可動式微少マニプレーターをコンピューター制御研磨機を使用し、隣青銅板を加工し、作成した。 自由行動・意識下ラットのPVN領域から単一ユニット活動記録を実施した。自発活動電位の発火パターンから2群に区分した:不規則連続発火型(I)と間欠型(P)。記録時、これらI型とP型は混在していたが、実験終了後の組織学的検索よりP型は主にPVN内の外側部(主に大細胞ニューロンが多い部位)に偏在していた。 P型は薬物による血圧変動に対して反応した:フェニールエフリン静脈内投与で血圧を高めると抑制され、一方ニトロプルシドで血圧低下を起こすと興奮反応を示した。I型の反応にはこのような反応の方向性は認められなかった。空気暴露(エアーパフ)に対しては逆にI型の一部が興奮反応を示した。12時間絶水によりP型の多くは興奮反応を示し、飲水を許可すると抑制反応が見られた。不安を惹起するペプチドとして知られるコレシストキニン(CCK)によりI型は興奮反応を、P型は逆に抑制反応を示した。 これらの結果よりP型はバゾプレッシン分泌ニューロン、I型ニューロンにはCRH、オキシトシン分泌ニューロンなどが含まれることが示唆された。 今後この手法を用いて、更なる解析を行う予定である。
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Research Products
(6 results)