2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15659063
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻本 豪三 京都大学, 薬学研究科, 教授 (80172013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 嘉尚 京都大学, 薬学研究科, 講師 (20093320)
松本 治 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (10231599)
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Keywords | P2X2受容体 / スプライシングバリアント / ATP受容体 / 下垂体細胞 |
Research Abstract |
これまでの研究で、マウス下垂体より新たなP2X2受容体スプライシングバリアントをトランスクリプトームの解析より同定した。P2X2には野生型のP2X2aとカルボキシ末端スプライシングバリアントのP2X2bが知られ、我々はマウスにおいて既にこれらの遺伝子をクローニングしていたが、rapid amplification of cDNA ends法でcDNA3'末端を解析したところ、新たなバリアントP2X2eを発見した。このP2X2eは、ATPの刺激に対し、P2X2bなどこれまで知られているどのP2X2スプライシングバリアントよりもはるかに早い脱感作を起こすことが分かった。これはATP受容体の活性を担う、重要な受容体部分を同定する際に、手がかりとなる有用な知見である。P2X2eはバリアントの中ではカルボキシル末端が最も短く、スプライシングにより、受容体の活性化時間が短くなり、細胞内カルシウム濃度め過度な上昇が押さえられる。下垂体細胞内ではP2X2aとP2X2bがほぼ等量共存し、P2X2eの発現量はこれらの約10%であった。P2X2aによる細胞内カルシウム濃度の上昇が、P2X2b及びP2X2eと共存することで適度に保たれている可能性が示唆された。これより、細胞内カルシウム動態を通じ、成長ホルモンや、ゴナドトロピン分泌ホルモンの分必が調節を受けている事が示唆された。 さらに、マウスのP2X2遺伝子構造を明らかにした。ゲノム上のマウスP2X2遺伝子は11のエクソンからなり、5'上流はマウス、ラット、ヒトの間でよく保存されている部分があることが分かった。さらに、マウスP2X2遺伝子の転写開始部位を決定した。P2X2受容体の機能は上記の種間で種差のあることより、comparative genomicsの観点からさらに研究をすすめている。また、プロモーター活性をルシフェラーゼ遺伝子の発現を指標に計測したところ、マウスP2X2遺伝子の5'上流には下垂体細胞で特異的に活性化されるエンハンサー領域が存在し、トランスジェニック動物を作出する際、P2X2を成長ホルモン産生細胞に発現させる為に利用できることが判明した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Shibata K: "Alphal-Actvenergic receptor subtypes differentially control cell cycle of transfected CHO cells through a cAMP-dependent mechanisim involving p27kip1."J.Biol.Chem.. 278. 672-678 (2003)
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[Publications] Koshimizu TA: "Recent advances in alpha1-adrenoceptor pharmacology."Pharmacol.Ther.. 98. 235-244 (2003)
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[Publications] Tanone A: "Insights into alpha1-adrenoceptor function in health and disease from transgenic animal studies."Trends in Endocrinology and Metabolism.. 14. 107-113 (2003)
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[Publications] Oshikawa S: "Vasopressin stimulates insulin release from islet cells through V1b receptors : A combined pharmacological/knockout approach."Mol.Pharmacol.. 65. 623-629 (2004)
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[Publications] Tanone A: "The Vasopressin V1b receptor critically regulates hypothalamic-pituitary-adrenal axis activity under both stress and resting conditions."J.Clin.Invest.. 113. 302-309 (2004)
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[Publications] 辻本豪三: "薬物動態研究ガイド-創薬から臨床へ-"エル・アイ・シー. 11 (2003)
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[Publications] 辻本豪三: "薬物療法学"南江堂. 3 (2003)